幹事クリタのコーカイ日誌2009

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4月8日 ● 携帯を見るな、フレッシュマン。

 手持ち無沙汰な時があります。例えば電車をホームで待っている4分。見たいテレビ番組が始まるまでの6分。人との待ち合わせで少し早く着いた時の8分。行列で並んでいる15分。そんな時、以前は誰しも何もせずにボーっとしていたものです。道行く人をぼんやり眺めていたり、そのあたりにある広告を見ていたり。しかし、最近は携帯をいじっている人が大半。メールをしているのか、サイトを見ているのか、ゲームをしているのかわかりませんが、とりあえず携帯を取り出して何やらしています。

 僕は大抵文庫本を持ち歩いているので、手すきの時間ができたら本を読んでいます。ただ10分くらい時間があれば本を読むのも良いですが、さすがに2、3分では文庫本を開く気にもなりません。仕方ないので最近は僕も携帯を取り出してゲームをしたりすることもあります。確かに暇つぶしには最高です。

 しかし、コピーライターとしては、こういう時に携帯でゲームをしていて良いのかとも思っています。身の周りの広告を見るというのは職業上もちろん有用なことですし、人間観察も仕事の上で大いに役立ちます。広告によって人の心を動かし行動を起こさせるためには、まず人について知らなければなりません。どうしたら人は興味を持ち、アクションを起こすのか。人を知らずして人を動かすことはできない、すなわち良い広告は作れないからです。

 だからコピーライターは単にデスクに向かって考えているいるだけではダメ。新人時代からとにかく町に出ろ、店に入れ、酒を飲め、人に会え、映画を見ろ、本を読め、旅に行けと言われ続けます。遊び全てが役に立つから楽しいのですが、その代わり遊んだ全てをきちんと吸収して自分の肥やしにしていく好奇心と消化力が必要です。

 暇な時にマンウォッチングもせず広告も本も読まず、携帯の小さな画面でゲームをしてばかりでは本人にとって何の肥やしになりません。新人コピーライターだけではなく、恐らくどの業界でもほとんどの新社会人に当てはまるのではないかと思います。電車の中やランチの店で常に携帯をいじっているフレッシュマンらしき若者を見ると、ちょっと心配になる社会人27年目。

 もっとも、こういうオヤジ臭い話は、実際に面と向かって若い奴らにはしませんけどね。そこまで面倒見が良くないですから。わかってる奴は言わなくてもわかってるし、わかんない奴に説教したってムダ骨だからしませんもん。いまどき若い奴を説教できる人って、エネルギーあるなぁと感心してしまいます。