幹事クリタのコーカイ日誌2009

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4月2日 ● 『天地人』キャスティングの問題点。

 相変わらず視聴率が好調なNHK大河ドラマ『天地人』ですが、視聴率の割りに評判はあまり良くないような気がします。特に脚本についてはネット上でもいろいろな批判が書かれていて、僕も「もっとも」と頷くことが多いのですが、それよりも最初から「おかしいんじゃないの?」と思っているのがキャスティング。イメージが合う合わない云々の前に、そもそも役と俳優の年齢があまりにも合っていないので、ドラマを見ていても上下関係がわからなくて困ります。

 例えば直江兼続(1560年生)と主君の上杉景勝(1556年生)の年齢差はドラマでは5才ということになっていますが、演じる妻夫木聡(1980年生)と北村一輝(1969年)は11才差。幼い頃の子役のイメージが大人になってから大きく食い違っていてかなり無理があります。また兼続の妻のお船は3才年上女房ですが、常盤貴子(1972年生)と妻夫木とは8才差。妻夫木が年の割りに幼いこともあって、どう見たって夫婦としては釣り合っていません。

 兼続の弟を演じている小泉孝太郎(1978年生)は妻夫木より2才年上。ドラマを見ていても妻夫木の弟には見えません。兼続と同じ上田衆の東幹久(1969年生)、パパイヤ鈴木(1966年生)も北村一輝との年齢は釣り合っていますが、もちろん妻夫木とは同じ年頃とは思えません。妻夫木の父親役である高島政伸(1966年生)の方が、北村、東、パパイヤとむしろ同世代です。つまり上田衆の中で兼続役の妻夫木だけが若すぎて周囲とのバランスが取れていないのです。せめてあと5才くらいは年上の俳優でなくては釣り合いません。

 今度は上杉家に目を向けてみます。謙信と景勝は26才差なのですが、阿部寛(1964年生)と北村はわずか5才差。これまた無理があります。景勝の母親である仙桃院と景勝は32才差ですが、北村と5才違いの高島礼子(1964年生)では、とても実の母親には見えません。また養子同士で対立する景虎と景勝は景虎が2才年上ですが、玉山鉄二(1980年生)は、逆に北村の11才も年下。景虎は年上だからこそ、景勝よりも上に立とうと思っても無理がないのに、ドラマでは若造の玉山鉄二が生意気に見えて仕方ありません。上杉家内の年齢関係を見ると、こちらでは景勝役の北村が老けすぎということになります。ひとまわりくらいは年下の俳優を使わないとおかしいのです。

 さらに誰が見たって無茶なのが豊臣秀吉。秀吉は信長より3才年下なのですが、信長役の吉川晃司(1965年生)に対して、秀吉役の笹野高史(1948年生)はありえません。信長よりも17才も年上の秀吉って前代未聞でしょう。いくら若作りしても老け顔の笹野では無理があります。せめて若い俳優を作って老けメークをさせた方がよほど見ている方には負担がかかりません。

 ちなみに秀吉と石田三成の年齢差は23才。笹野と小栗旬(1982年生)は34才差。開き過ぎです。親子ほどの年齢差なのに、笹野の老け顔のせいで、祖父と孫ほどの年の差に感じます。また、まだ出てきていませんが、徳川家康役の松方弘樹(1942年生)も老け過ぎキャスティング。信長を「兄」と呼ぶ家康が23才年上なんて、とても同時に画面には出せないでしょう。それに家康と関が原で対立する兼続や三成とは17才差なのに、妻夫木と38才、小栗と40才差というのもいかにも離れすぎでしょう。

 いくら俳優は化けるのが仕事とは言え、ハイビジョンでは年齢はごまかしきれません。年齢順が無茶苦茶だと、見ている方が混乱します。いちいち俳優の年齢にひっかかってしまうし、景勝と景虎のように年齢が明らかに逆だと勘違いもします。もう少しマシなキャスティングはできなかったのかと残念でなりません。