幹事クリタのコーカイ日誌2009

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2月2日 ● ナダルがフェデラーを超えた。

 全豪オープン男子シングルスでナダルがフェデラーを7-5、3-6、7-6、3-6、6-2で競り勝ち初優勝をしました。ナダルは準決勝に続くフルセットの熱戦でしたが、最終セットに入って乱れたフェデラーに比べ、ナダルの底なしの体力がフェデラーを上回ったというところでしょうか。これでナダルは全米以外のグランドスラム3冠。しかも、今年最初の全豪を制したことで、年間グランドスラムの夢も描けることになりました。

 ナダルの進化の早さは目を見張るものがあります。つい2年ほど前はまだ驚異的なコートカバーリングと強烈なフォアのトップスピンストロークだけで勝っている印象でした。それが昨年からプレーの幅が広がり、より攻撃的なテニスに変貌することで、ハードコートでも勝てるようになっただけではなく、苦手としていたウィンブルドンでもフェデラーを破り、一気にトップに躍り出ました。今ではフェデラーを完全に乗り越えた真のチャンピオンです。

 しかもナダルはフェデラーよりも5才年下。「伸びしろ」を考えても、すっかり円熟の域に達したフェデラーよりもはるかに可能性があり、今後はますますフェデラーとの差を開いていくばかりでしょう。むしろナダルよりも年下のジョコビッチ、マリー、デルポトロ、グルビス、錦織らの成長の方が、今後のナダルには脅威になってくると思われます。

 ただナダルにとって一番の敵は、フェデラーでも若手でもなく、故障でしょう。なにせ体を酷使するタイプのプレーヤーです。全身を使って強烈なショットをひたすら打ち続けますが、回転数の多いボールを使うためにどうしてもラリーが長くなります。しかも試合時間が長いだけではなく、試合数も多いので、体にかかる負荷は誰よりも大きいでしょう。これまでは若さでカバーしてきましたが、この酷使のツケが多分20代半ばで出てくる可能性が高いと思います。

 逆にフェデラーは誰が見てもわかるような美しいフォームで、しかも力がキレイに抜けていますから故障には無縁のタイプです。展開が早く試合時間も短いので、選手寿命はナダルよりもずっと長いことでしょう。だからしばらくはナダルの時代が続くと思いますが、2年くらい我慢していればまたフェデラーにチャンスが巡ってくるかも知れません。問題はそこまでフェデラーのモチベーションが保てるかどうかですけどね。すでに「伝説」となっているフェデラーだけに、ボルグのようにいきなり燃え尽きてしまう可能性もないとは言えません。サンプラスを超える15個目のグランドスラムタイトルと、全仏オープン優勝。この2つの目標がフェデラーのモチベーションを支えてくれれば良いのですが。