幹事クリタのコーカイ日誌2009

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1月18日 ● クルム伊達公子が全豪本戦出場。

 昨年現役に復帰して以来、驚かされることばかりのクルム伊達公子がまたやってくれました。グランドスラムのひとつ全豪オープンで予選を突破して本戦に出場することになったのです。12年というブランク、38才という年齢を考えたら、これはもう奇跡と言って良いでしょう。

 グランドスラムのシングルスは128ドロー。つまり世界で128人のトップ選手しか出場できません。予選を3回勝ち抜けば本戦に出られるのですが、選手はみな必死ですからもちろん簡単なことではありません。復帰からまだ1年も経っていない伊達がさすがに本戦に出るのは難しいのではないかと思っていました。なにせ伊達は復帰した時も国内を中心にして海外ツアーには参加しないと言っていたのです。日本の若手相手なら戦えても、さすがに海外のパワーヒッターたちとは戦えないだろうと彼女自身も考えていたはずです。

 ところがやればやるほど彼女の負けん気に火がつき、また彼女のテニスも向上していきました。衰えた体力を経験と頭脳でカバーして、外国の若い選手たちまでも翻弄しはじめたのです。そして、いよいよ世界のテニスの舞台に伊達が戻ってきました。1990年代半ばにグラフやダベンポートやサンチェスやサバティーニらと鎬を削った伊達が、時代を飛び越えて、今度はウィリアムズ姉妹やヤンコビッチ、イバノビッチ、ディメンティエバ、サフィーナらと戦うのです(残念ながら今回もシャラポワは欠場)。まるで小説か映画のような出来事です。

 さすがにトップ50の選手と戦うのは厳しいだろうと思いますが、今はまだ伊達にとって復帰途上のはず。彼女が見ているのはウィンブルドンの芝かも知れません。あのグラフとの死闘で置いてきたウィンブルドンへの思いを取り戻すために。