幹事クリタのコーカイ日誌2009

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1月9日 ● 錦織圭快進撃。

 テニスツアーが開幕しました。日本選手で注目の3人、クルム伊達公子、杉山愛、錦織圭のうち伊達と杉山は残念ながら1回戦で負けてしまいましたが、世界61位までランキングを上げてきた錦織は素晴らしいスタートを切っています。ブリスベン国際で2回戦に進出した錦織は、世界20位のトマス・ベルディヒと対戦し、これを7-6、6-3のストレートで下しました。ベルディヒと聞いても一般の人はもちろん、テニスファンでも知らない人がいるかも知れませんが、昨年のAIGジャパンオープンでロディックとデルポトロに勝って優勝したチェコの選手で、一昨年には世界9位まで上がったバリバリのツアー上位の選手です。

 この試合をGaoraで見ましたが、単に錦織が上位選手に勝ったということではなく、その内容がまた素晴らしいものでした。ベルディヒの調子は決して悪くありませんでした。昨年のAIGオープン同様に長身を生かしたビッグサーブと、フェデラーやナダルをも破った強烈なフラット系のグランドストロークで攻撃的なテニスを展開していました。

 ところが錦織はそれを上回っていました。得意のフォアハンドストロークで強烈なベルディヒのストロークに打ち勝ち、時に得意のドロップショットを放ち、またここぞで見事なサーブ&ボレーを決めていました。またこれまで比較的弱点とされていたサービスでエースも奪うし、バックハンドストロークでの展開も進歩の跡が見え、昨年の錦織よりもはるかに成長して強くなった2009年型の錦織がいました。

 もちろん技術だけではなく、フィジカルも強くなったようですし、メンタルの強さもますます磨きがかかったようで、心技体全てに一回り大きくなって、トップクラスのツアー選手並みのテニスを錦織は披露しました。これにはベルディヒも感心したようで、負けた後の表情にもそれが読み取れました。いまトップ100で最年少の19才になったばかりの錦織が、すでにそのテニスの内容だけならトップ20の選手に優るとも劣らないというのですから、将来が楽しみで仕方ありません。

 加えて錦織の魅力は強い、若いというだけでもありません。テニス自体が面白いのです。アイデアに溢れ独創的で煌めきがあります。天才の輝きがあります。日本のみならず世界のテニスシーンで錦織が注目される理由です。錦織の準々決勝の相手はフランスのアンリ・マチュー。これまた強い選手ですが、今の錦織なら決して勝てない相手ではありません。そして、このままもし決勝まで勝ち上がれば、もしかしたら相手はフランスのリシャール・ガスケかも知れません。ガスケには昨年のAIGオープンで完敗を喫しています。同じタイプの天才型選手だけに「相手を尊敬し過ぎた」と錦織は語っていましたが、今度当たった時にはぜひその時の雪辱を果たしてもらいたいと願っています。今年のテニスシーンは、本当に目が離せません。