幹事クリタのコーカイ日誌2009

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1月4日 ● 箱根駅伝と夏の甲子園の共通項。

 正月恒例の箱根駅伝。今年は「戦国駅伝」と言われるくらい実力伯仲の混沌とした大会でしたが、伏兵の東洋大が見事に総合初優勝。早大が惜しくも2位に終わり、本命と言われた駒大がなんとシード落ちするという波乱がありました。

 それにしても毎年感じることではありますが、箱根駅伝は「それほど大騒ぎするほどのビッグイベントか?」ということ。なにせ関東限定の大学生の駅伝大会です。ローカルな学生のかけっこを日本中が大騒ぎして見るのは、たかが高校生の野球大会に熱中する以上に不思議な光景です。

 箱根駅伝がこれほどの人気イベントになったのは、日本テレビ系列の正月2日間完全生中継によるところが大です。正月のおせち番組に飽き飽きしていて、しかもサッカーのようにずっと集中して見続けている必要もなく、専門的知識もいらない、テレビをつけて適当に流しておけば良い駅伝という競技は、老若男女が集う正月のお茶の間の空間にぴったりはまります。毎年同じように見ていれば、少しずつ贔屓の大学もできることでしょうし、まして田舎から関東の大学に進んだ子どもや親戚がいれば、応援にも力が入ろうというものです。

 注目度が上がるにつれて、関東の大学の実力はどんどん上がってきています。有力な高校生は「箱根を走りたい」という思いで、みな関東の大学に進みます。結果、関東とそれ以外の地方の大学とのレベル差は近年開く一方です。全国の大学が出場する全日本大学駅伝でも、昔は京産大とか福岡大など、関東以外の有力校が優勝することもありましたが、今では上位は全て関東の大学で占められていて全然面白くありません。女子の大学駅伝は立命館大や名城大など、関東以外の大学の方が強いのに、男子が関東寡占状態にあるのは、箱根駅伝があるかどうかの差です。

 夏の甲子園と箱根駅伝は、ともに一マスコミが作り上げた一種の幻想です。盆と正月という日本人の心の原風景にスポーツ競技を放り込むことによって、単なる学生スポーツの枠を大きく超えたある種の宗教的な儀式にまで高められてしまいました。ともに学生の献身的な努力をベースにした一大エンターテイメントであり、朝日新聞や読売新聞の売り上げに大きく貢献しています。それを思うと、最近は単純に楽しむことに疑問を感じずにはいられません。余りにもいびつ過ぎる気がしてしまって。