幹事クリタのコーカイ日誌2008

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12月15日 ● 『篤姫』最終回。

 今年1年話題をさらい、僕自身も1回も欠かさずに見た大河ドラマ『篤姫』が昨晩最終回を迎えました。江戸から東京に変わった明治時代の天璋院の元をゆかりの人物が次々と訪れる最終回は、エンディングに相応しいつくりでした。また回想シーンもふんだんに用い、宮崎あおいが見事にローティーンから49才までを演じきったこともよくわかりました。

 幕末ものはヒットしないという大河ドラマのジンクスを打ち破ることができたのは、何と言っても宮崎の演技によるものが大きいと思います。明るくて聡明で芯がしっかりしている前向きな宮崎の篤姫は、理想の娘、理想の妻、理想の母、理想の上司です。明日から仕事という憂鬱な日曜日の夜に見ていても苦になりません。じめっと湿度の高い陰湿なドラマよりも、こういうスーパーヒロインによる陽性のドラマの方が見ていて元気になります。

 また周りの敵対する人物全てを自分の魅力で味方にしていくという脚本はマンガ『課長島耕作』『釣りバカ日誌』などに見られる黄金パターンでサラリーマンが好むところ。篤姫が島津の分家の娘からトントン拍子に出世していく様子もまたサラリーマンマンガと同じです。篤姫は女性版&幕末版の島耕作だったわけです。

 もちろん大奥が舞台ですから、女性ファンのハートもがっちり掴まえました。華やかな衣装と調度品をバックに繰り広げられる、結婚、夫とのセックスレス、側室とのバトル、嫁姑の争いなど、幕末を舞台にしながらも中身は現代の昼ドラマと変わりません。自分の前だけで本当の姿を見せる権力者の夫、生涯思い続けてくれる誠実な幼なじみとの愛情も、女性たちのシンデレラ願望を十分に満たしてくれたことでしょう。

 こうして振り返ってみると、ヒットするに十分な要素を持ったドラマだったことがわかります。敢えて史実を無視、またはねじ曲げて現代的に仕立てたドラマではありましたが、その突っ込みを恐れない割り切りの良さも高視聴率につながったのだろうと思います。来年の『天地人』のスタッフにはかなりのプレッシャーがかかっていることでしょう。