幹事クリタのコーカイ日誌2008

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12月14日 ● マオとヨナのGPファイナル。

 昨日のフィギュアスケートGPファイナルは実に見応えのある戦いでした。浅田真央とキム・ヨナのジュニア時代からのライバル対決が激しい火花を散らしました。今年のグランプリシリーズの結果から言えば浅田は不利だと思われていました。高い次元で安定しているキムに比べて、浅田はジャンプが不安定でまだ演技がまとまっていない印象だったからです。

 それはGPファイナルのSPでも同じでした。浅田はなんとかジャンプをまとめてこられるところまで辿り着いただけで、キムの完成度の高さにはまだ及んでいませんでした。僅差ながらキムがSPをリードしたので、このまま地元韓国での大応援をバックにキムがGPファイナルを制するのではないかと大方は予想していたと思います。

 フリーの演技を4人が終えたところで完全に2人のマッチレースになることは決まりました。後は浅田とキムがどれだけ大きな演技をできるか、その「伸びやかさ」の勝負になると思いました。ミスを恐れて演技が縮んでしまったらお互いに勝てる相手ではないことはわかっているはず。守りに入らずどこまで攻めることができるかがポイントです。

 浅田は良い滑り出しでした。SPで遅れをとったことが逆に開き直りを生んで演技に切れが出た感じです。ポイントになる2つのトリプルアクセルをキレイに決めました。1度だけジャンプで転倒したのは悔やまれますが、それを除けば完璧と言って良い演技でした。なにより攻める気持ちがよくスケーティングに出ていました。

 キムは明らかに硬くなっていました。安定感のある滑りと表現力の高さはさすがでしたが、ジャンプに思いっきりが足りません。案の定、ミスをして1回転になり、さらに今度は転倒までしてしまいました。この転倒がだめ押しになりました。結果は浅田の逆転勝利。ライバル対決は浅田がまたリードです。

 キムの足を引っ張ったのは地元韓国の熱烈な応援とプレッシャーだったと言えるでしょう。韓国では国民的人気を誇るキムだけに、地元でのGPファイナルは「勝って当然」という期待をかけられています。しかし18才の少女にはそれは過酷すぎる重圧だったと思います。あれだけ強張ってしまっては、ジャンプでミスが出ても仕方ないでしょう。

 それに浅田には中野も安藤もいます。日本のエースと言えども、他にも世界トップクラスの選手(しかも3人とも同じ愛知県出身)がいることはやはり心強いでしょうし、期待も分散されて楽になります。自分が調子の悪い時に安藤が頑張ったり、中野にスポットが当たることもあります。しかしキムは韓国スケート界では孤高の存在です。常に注目されて追いかけられるキムが受け続けるプレッシャーは浅田の比ではありません。

 まあ今回は地元韓国での開催だっただけに、余計にキムは辛かったと思います。しかし、2人の勝負の山場は2010年バンクーバー冬季五輪です。シニアになってからの直接対決はこれで浅田の3勝2敗になりましたが、まだまだ決着ではありません。2人のライバル物語は続きます。