幹事クリタのコーカイ日誌2008

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12月3日 ● 黒子の広告制作者の名前が出る時。

 広告制作者のことを「クリエーター」と業界では呼びますが、クリエーティブだとは言っても、ファインアートではないし、小説や映画やゲームとも違って実際に制作者の名前がクレジットされる署名入りの広告はありません。どんなにヒットし流行語になるような広告を作っても、ごく一部の例外を除き、あくまでも広告制作者は世間的には「黒子」の立場です。

 ただ広告業界にも専門誌とか業界誌というのがいくつかかあります。そこでは毎月作られている広告が紹介されているのですが、専門誌だけにスタッフリストも大抵の場合添えられています。例えば話題の江崎グリコの「オトナグリコ」(25年後のサザエさん一家)の場合は、CD/佐々木宏、AD/水口克夫、C/岡本欣也、といった具合です。ちなみにCDはクリエーティブディレクター、ADはアートディレクター、Cはコピーライターです。

 話題になった広告を誰が作っているのかはこうした専門誌をチェックしていればわかります。逆にこうした専門誌にたびたび名前が載るようなら、いま売れているクリエーターってことになるわけです。載っているのはコピーライターやデザイナーだけではなく、イラストレーターやカメラマンも載っていますから、あのイラストが良かったから頼みたいなぁと思われれば仕事がくるかも知れません。フリーランスのクリエーターにとってはこうしたことも宣伝媒体として有用なのです。

 ただ専門誌は東京中心で、僕のような地方の広告制作者は全国的な展開をする広告を作ることが少ないので、滅多なことでは掲載されることもありません。実はいま書店に並んでいる専門誌に久しぶりに僕が制作した新聞広告が取り上げられて名前もクレジットされているのですが、これまでにもこうして自分の名前と制作した広告が掲載されたことは数えるほどしかありません。

 もちろん僕の場合はフリーランスではないので、宣伝する必要もないですし、載っても載らなくても社内での仕事に大きな影響はありません。ただ、自分と一緒に仕事をしてくれた社外スタッフにとっては、こうした専門誌に名前が出ることは大きな励みになるので、時々はこうして作った広告とともに名前が世間に出て行くのも悪くはないなと思いました。