幹事クリタのコーカイ日誌2008

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11月22日 ● 「沢田研二スペシャル」は保存版。

 NHK−BS2で昨晩放送された「沢田研二スペシャル」は45分しかなかったのが残念なくらいジュリーエキスが充満していました。紅白歌合戦とレッツゴーヤングの往年の映像に加えて、語りもジュリー本人。「許されない愛」から始まり「危険なふたり」「時の過ぎゆくままに」「勝手にしやがれ」「サムライ」「ダーリング」「カサブランカ・ダンディ」「TOKIO」などなど、ヒット曲をどんどん流してくれるので、全部一緒に歌ってしまいました。

 当時のジュリーの人気は今の(と言うか、ちょっと前の)キムタク並で、石野真子が「ジュリーがライバル」という歌をヒットさせたくらいのスーパースター。危うい男の色気というものをお茶の間に持ち込み、常に最先端のファッションとアートをいち早く取り入れていた前衛的なアーティストだったことを、改めて再確認することができました。

 ジュリーの魅力は歌はもちろんですが、やはりそのビジュアルにあります。レコードではなくテレビを意識した最初の歌手だったのかも知れません。「聞かせる」ことよりも「見せる」ことを重視した「元祖ビジュアル系」としてのジュリーをもっと高く評価して良いのではないかと思いました。化粧、女装をはじめ、先鋭的なファッションは今見ても決して古くはありません。

 惜しむらくはこの番組がNHKだけに映像の大半が紅白のものだったこと。紅白でのジュリーは本来のジュリーとはやはりちょっと違って「抑え目」な感じがします。たとえギラギラ派手派手な衣装を着ていても、どこか紅白仕様になっていて、例えば当時「ザ・ベストテン」や「夜のヒットスタジオ」で見せていた妖しさ全開のジュリーではありません。ましてバックで北島三郎や五木ひろしが踊っているようでは、ジュリーがいくら彼の世界観を作り上げていても台無しです。

 まあそのあたりは諦めるとしても、やはりタイガース時代の映像(そう言えばGSはNHKに出られなかったんですよね)から、きちんと年を追って積み重ねていくNHKならではの実直な編集は、妙な民放のゴテゴテした演出過多よりもはるかに好感がもてます。保存版として残しておきたい番組でした。