幹事クリタのコーカイ日誌2008

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11月10日 ● 攻めの継投策がはまった渡辺監督。

 さすがチャンピオンチーム同士というべきか、実に白熱した面白い日本シリーズでした。全7戦の中に流れの移り変わりがありドラマがありました。最後は東京ドームでの2連戦で西武に流れがきましたが、それは渡辺監督の「攻めの継投策」がズバリとはまって引き寄せたものだと思います。

 6戦では中2日で岸のロングリリーフが白眉でした。140球を投げて完封した岸の調子の良さ、巨人の岸に対するイヤなイメージを生かしての登板だったのでしょうが、中2日の投手をあそこまで引っ張るというのが意外でした。普通なら最後は抑えのエースであるグラマンに任せるところを、最後まで岸に預けた渡辺監督の大胆な采配が西武に流れを引き寄せました。

 そして7戦ではこのシリーズ未登板だったベテラン西口を大事なところで起用。しかし西口の調子がいまひとつだと見るや2イニングで見切りをつけて石井一を投入、さらにこれも2インニングで今度はエース涌井と、オールスター戦方式で次々と良い投手を投げさせました。岸を引っ張った同じ監督とは思えない投手起用法です。

 そしてリードするや8回からグラマンを登板させました。これもまた大胆で、第1戦以来使わなかったグラマンをここで2イニング投げさせようという渡辺監督の「勝利の方程式」を全く無視した大胆な采配には巨人ベンチも驚いたことでしょう。結果、この継投策は見事にはまって、巨人打線は3回以降西武投手陣にヒット1本も打てずに完璧に抑えられてしまいました。

 投手出身の監督ならではの、投手の気持ちを知り尽くした継投策でした。こんな大胆な投手リレーは野手出身の原監督には無理でしょう。彼はあくまでもセオリー通りにしか投手を投げさせられないからです。西武はカブレラ、和田という主砲2人が抜けたにも関わらず、同一リーグのエースと4番と抑えの切り札を引き抜いてきた巨人に勝ちました。戦力差を埋める監督の采配の差で決まったような日本シリーズでしたが、なぜかWBC監督は「敗軍の将」である原が務めます。日本シリーズ前に決めてしまった不可解さがここにきて浮かび上がってしまいました。