幹事クリタのコーカイ日誌2008

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11月3日 ● 「高所得の世帯」の線引きは難しい。

 政府の「バラまき政策」の目玉のひとつである「定額給付金」ですが、いま与謝野経済財政相が高所得者を除くよう主張しているのに対し、中川財務・金融相は「手続きが煩雑になる」と反対しているそうです。正直言って、僕は定額給付金なんて景気対策になるとはとても思えないので、税金の無駄遣いだと思いますが、もしどうしてもやるなら一律定額給付にするのが一番だと考えています。

 と言うのも、ひとつには中川の主張と同じですが、手続きが煩雑になって給付が遅れれば遅れるほど意味がなくなるからです。「やる」と発表してから、半年も1年も待たされたら、その間にどんどん景気が悪くなってしまいます。今回の景気対策は対処療法の緊急措置なのですから、少しでも早く行うべきです。風邪の引きはじめにこそ薬を飲んで症状を軽くすることが大事なのであって、高熱が出て寝込んでしまってから風邪薬を飲んでもあまり意味がありません。もちろん、自民党としては選挙に間に合うように給付しないとバラまいた意味がないということからも、一刻も早く給付をしたいということもあるでしょう。

 もうひとつの理由としては「高所得の世帯」の線引きが難しく、どうやっても不公平が生ずるからです。仮に所得が1000万円以下の世帯のみを給付の対象とするとしましょう。1000万円を1円でも越えたら給付金は貰えません。しかし、所得が999万9千円の家庭と、1000万1円の家庭の間にどれほどの差があると言うのでしょう?その1000円の差で数万円の給付金の差が出たら逆転してしまいます。

 また1000万円の所得があっても、片や夫婦2人暮らし共働きで親から貰った持ち家に住んでいる場合と、3人の子どもの教育費と住宅ローンに苦しむ5人家族では、暮らしぶりに大きな違いがあります。住んでいるのが東京か地方か、ローンがあるかないか、子どもが公立が私立か、親が裕福か否か。さらに言えば、自営業でうまく節税をして金持ちなのに所得を1000万円以下に見せかけている連中と、過労死寸前の残業代のせいで所得が1000万円を越えてしまったサラリーマンとでは、どちらが大変でしょう?そういう違いも全て無視をして、1000万円でオールオアナッシングにすることは、やはりかなりの不公平感があります。

 給付金と呼んでいるものの、実際には減税です。税の不公平は極力避けるべきです。1000万円という数字にもそれほど合理的な意味があるとは思えません。単に切りが良い数字だという理由だけです。1000万円を600万円にすれば良いとか、逆に2000万円にすれば良いということでもありません。上述したように、生活の豊かさは単に所得だけでは決まらないし、結局その数字の前後で不公平が生じることは同じだからです。

 これが定率給付ならまだ不公平ではありません。しかし、定額給付なら全員に給付するのが一番公平です。じゃなければ、こんな無駄なバラまきはやめた方がマシだと思います。