幹事クリタのコーカイ日誌2008

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10月21日 ● 明石家さんまは、お笑い界の手塚治虫か。

 昨晩の『SMAP×SMAP』はビストロスマップに明石家さんまを迎えてのスペシャル。と言うか、さんまが喋り倒すので、ビストロスマップだけで終わってしまいました。27時間テレビの話を中心に北京五輪のレポーターの話やら何やらと、さんまは相変わらず「舌好調」でした。

 さんまの凄いところはこの「相変わらず」の部分です。もう芸歴30年を超える大ベテランであり、頂点を極めた超大物お笑いタレントでありながら、若い頃となんら変わらない「攻め」の姿勢で喋り倒すそのパワーとモチベーションの高さが「相変わらず」なのは驚くしかありません。

 かつて「お笑いBIG3」と呼ばれたビートたけしもタモリも、すっかり枯れてしまいました。この2人はお笑い芸人であることを半ば放棄しています。たけしは文化人としての顔の方が大きくなってしまい、時々昔を懐かしんでお笑いもやってみるか、程度のスタンスですし、タモリはとりあえずそこにいれば良いんだろうくらいの置物的存在になっています。面白いか面白くないかと聞かれれば、ほとんど面白くないし、周りももうそういう期待をしなくなっています。お笑いの現役ではなくシニアプレーヤーです。

 ところがさんまは相変わらず現役バリバリです。むしろさんまの後輩であるダウンタウンの方がよっぽど大物ぶっていて現役感がありません。さんまの同期の島田紳助も視聴率を取れる名司会者ではありますが、お笑い芸人というよりはプロデューサーになっていて、こちらもせいぜいプレイング・マネージャーくらいです。たまに「代打オレ」と言って打席に立って勝負強いバッティングを見せてファンを喜ばせている感じです。

 もちろん、さんまとて衰えはあります。絶頂期はもう20年前のことであり、同じようなスタイルで笑いを取ろうとしても「古い」「遅い」「強引」と思うことが少なくありません。かつて3割5分ホームラン50本の強打者だったのに、今では2割8分30本くらいまで力が落ちたというところです。衰えを経験でカバーしているのは明らかなのですが、それでもまだまだ現役で若い連中には負けないと疾走する姿だけで「エライやつ」だと思わされます。

 マンガの神様だった手塚治虫は巨匠になった後も、自分よりはるか年下の、その時代の一番面白いマンガ家を常にライバルだと思って意識していたそうです。手塚とていつも一番人気のある面白いマンガ家だったわけではありませんが、彼は「神様」の地位に安住せず最後まで現役として戦って現役のまま死んでいきました。今のさんまは、そんな手塚の姿に重なります。願わくばこのままたけし化もタモリ化もしないで、死ぬまでさんまでいて欲しいものです。