幹事クリタのコーカイ日誌2008

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10月10日 ● 小説家の「芸」が見たい。

 最近、映画を見ていません。学生時代は映画館で年間100本見たこともあるくらい映画好きでした。レンタルビデオが定着してからも、ほぼ毎週1本ずつ借りて見ていた時期もあり、その頃は映画館で見る作品と合わせて年間に60〜70本は見ていました。ところが最近はDVDをレンタルすることも滅多になく、映画館で見るのも年に数回。ここ数年の話題作をかなり見逃しています。

 映画ばかりではなく、他の趣味もすっかりご無沙汰しているものが増えました。ボーリングも学生時代からの趣味で、1ヶ月に100ゲーム以上投げたことがあるくらい一時期凝っていました。当時はアベレージも200前後だったのですが、今では年に1回投げるかどうか。すっかり腕も錆びついてきています。人前で投げるなら練習してから行かないと恥をかきそう。

 カラオケも大好きで、まだカラオケボックスが世の中になく、スナックでカラオケを歌っていた頃からのカラオケマニア。昔はカラオケのカセットテープも大量に保有して練習していましたが、最近は年に数回も歌っていません。温泉も好きで、昔は2ヶ月に1度は温泉旅行に行っていましたが、これも最近は年に1度がせいぜい。ゲームもゲームセンターのインベーダーゲームが高校3年の時ですから、それにはまって以来、ファミコン時代を経てずっとゲームマニアだったのですが、いつの間にかドラクエ以外はやらなくなってしまいました。

 今でも続いている趣味はテニス以外ではマンガを含む読書くらいなものです。一時期軽いエッセイばかり読んでいた時期があったのですが、最近はまた小説を読んでいます。それも以前はちょっと古い司馬遼太郎なんか読んでいたのに、この頃は現役の流行作家を積極的に読んでいて、奥田英朗とか宮部みゆきとか横山秀夫とか井沢元彦とか、まあ名前を挙げるならいくらでも出てくるのですが、中でも東野圭吾と浅田次郎が特にお気に入りです。

 東野や浅田の何が良いかというと「巧い」からです。中身に衝撃を受けるとか、刺激になるとか、考えさせられるとか、そういうコンセプチュアルな部分よりも、文体とかストーリー展開とか落とし方などのテクニック部分で「やるなぁ」と思わされるところが良いですね。若い頃は、本を読むというのは、知らないことを知るとか、新しい考え方に触れるとか、そういう「内容」が大事だと思っていました。と言うか、内容が全てで、文章が読みにくかろうが何だろうが一気に強引に読んでいました。若さゆえの力技ですし、若い時にはそれはとても大事なことだと今でも思いますが、この年になると、そんなことより小説家の巧みな「芸」に酔いたいと思うのです。

 言ってみれば、小説を読むのも、名人の落語を聞くのも今は同じなのです。話の中身よりも芸。東野圭吾は小朝で、浅田次郎は小三治で、伊坂幸太郎は鶴瓶だ、って喩えは合ってるかな?清水義範は志の輔か。清水の小説を新作落語にしていますから。