幹事クリタのコーカイ日誌2008

[ 前日翌日最新今月 ]


 
10月8日 ● 個人的な緒形拳の代表作。

 緒形拳が亡くなったと聞いてびっくりしました。高齢の俳優で最近見かけなくなった人ならともかく、この秋の連続ドラマ『風のガーデン』に出演することを知っていただけに、まだまだ元気というか、そもそも亡くなるなんてことすら想像していませんでした。

 僕の中で緒形拳というのはかなりランクの高い位置にいる俳優です。高倉健よりは下ですが梅宮辰夫、松方弘樹、山崎努、北大路欣也よりも上。菅原文太と同格、って、よくわかりませんね。全く個人的な印象なので。ただそういう男臭い俳優の中では、別格の高倉健を除けばかなり「見たい」俳優であったわけです。

 と言っても、彼の過去の出演作リストを眺めてみると、意外に見ていないことも判明しました。代表作は映画なら『鬼畜』『復讐するは我にあり』『楢山節考』あたり、ドラマならNHK大河の『太閤記』『峠の群像』や『必殺仕掛人』あたりになるんでしょうが、どれもこれもちゃんと見たことがありません。

 じゃあ何が印象に残っているのかというと、まず映画では1991年の『『大誘拐〜Rainbow kids〜』。原作小説も面白かったのですが、映画も岡本喜八監督晩年の快作です。北林谷栄と緒形の頭脳戦が展開するこの映画は、緒形の男臭いけど知的なイメージがなければ成功しなかったことでしょう。日本映画史に残る傑作だと僕は思っています。

 ドラマでは『ポケベルが鳴らなくて』。1993年のドラマで緒形が裕木奈江と不倫する話題作でした。娘(坂井真紀)の友達である裕木奈江と徐々に恋に落ちていく緒形と、それによって崩壊していく彼の家庭をリアルに描いたドラマで、あまりのリアルさゆえに裕木奈江がバッシングされて人気を落としたことでも知られています。役柄のイメージでバッシングされるなんて実に理不尽ですが、そんなことが起こるほど、このドラマのインパクトは強かったのです。

 ともあれ遺作となった『風のガーデン』はしみじみ緒形を見ようと思います。そんな人が多いでしょうから、視聴率も5%くらいは「香典代わり」にアップするかも知れませんね。