幹事クリタのコーカイ日誌2008

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10月7日 ● めちゃイケSPで見た岡村の挑戦と限界。

 「めちゃイケ」の恒例企画である「岡村オファー」シリーズ、今回は第12弾として松岡修造からテニスに挑戦して欲しいというオファーがきました。テニス界を盛り上げたい、そしてメンタルが弱い男子ジュニアに喝を入れたいという松岡の願いを岡村が受け入れたというカタチで、最終的な目標は杉山愛からエースを取る、ということです。テニス愛好家としては見逃せない番組でした。

 岡村はテニス未経験。最初に松岡とテニスを試しにやってみた映像を見る限り、本当にラケットを初めて持った初心者そのものでした。もちろん運動神経の良い岡村のことですから、飛んできたボールにラケットを当てることくらいはなんとかできます。しかし、テニスの難しいところはそこからです。

 2週間にわたる岡村の特訓はもちろんテレビ的演出を施されてはいましたが、内容はきちんと理に適ったものでした。ストロークもボレーもスマッシュもサービスも、お手本に忠実なきちんとした教え方ですし、トップジュニアたちとの練習も真剣そのもの。そこに嘘はないとテニス愛好家としては納得できるものでした。

 いつものオファーシリーズ同様に、いろいろ笑いは取りつつも、見る見るうちに岡村が上達していくのがわかります。最初は当てるだけだったストロークも徐々に「下から上」へのスイングできるようになり、また岡村が苦手そうにしていたサービスとスマッシュ(この2つは共通した動きが多いので、得意な人はどちらも得意だし、苦手な人はどちらも苦手)も最後はかなりカタチになってきました。とても2週間しか経験がない初心者とは思えないほどです。

 もちろん、日本トップクラスのコーチが懇切丁寧に指導し、時間の許す限り練習をしているのですから、誰だって上達はします。それでも「できない」はNGという松岡イズムの下、限界を超えるための練習をするという企画の趣旨はかなりのレベルで達成できたと思いました。

 ただ最後の杉山愛との真剣勝負、これだけは残念ながらやはり「真剣」とは程遠いものでした。杉山と岡村は常に0-40からというルールのハンデ戦でしたが、それにしたって解説の福井烈が言うように、真剣に杉山がやったら1ポイント取るのも難しいでしょうし、ましてやエースと取るなんて夢のまた夢です。

 ところが試合は岡村が負けたとは言え5-6という大接戦でしたし、岡村は杉山からボレーエース、スマッシュエースを取ってみせました。番組的には見事にチャレンジ成功ということになりました。しかし、それほど岡村が凄かったかというと、全然そんなことはありません。テニス経験2週間にしては驚異的に上手い岡村ですが、そのレベルはせいぜい普通のテニス経験2年くらいのものです。とても杉山とはレベルが違い過ぎて勝負になっていませんでした。

 杉山はあくまでも番組の企画に沿って優しく岡村に打ってあげているというだけのもので、本気のショットは数えるほどしかありませんでしたし、岡村が奪ったエースも杉山がわざわざチャンスボールを岡村に打たせたからです。僕があの岡村の相手をしても、まずポイントを取られることはほとんど考えられません。あるとしたら偶然のネットインやフレームショットがオンラインに落ちることくらいです。ましてや杉山が真面目にやったらあっという間に終わってしまっていたことでしょう。

 テニスは一見易しそうにみえる優雅なスポーツですが、実際にはとても複雑な動きを要求される難しいスポーツです。僕は初心者の人には「最低3年は我慢しなさい。そうすればゲームが楽しめるようになるから」といつも言っています。岡村にも2週間なんて短い期間ではなくて、せめて1年くらいは真剣にテニスを練習をしてもらいたかったと思います。そうすればもう少し杉山ともまともなラリーができたことでしょう。2週間ではあれが限界だと思います。杉山と真剣勝負なんて無茶もいいとこ。結局「テニスをなめている」のは、この企画を立てたスタッフ、もしくは松岡修造ということになるんでしょうか?

 まあ番組としては面白かったし、テニス人気を盛り上げるためにも一役買ったと思われるので、日本テニス界の有名人が続々出てきた(審判をやっていた岡川恵美子も古いテニスファンには懐かしい人でした)甲斐はあったと思いますけどね。