幹事クリタのコーカイ日誌2008

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9月24日 ● 王監督の退任とON時代の終焉。

 福岡ソフトバンクホークスの王監督が今季限りで退任することを発表しました。体力的な問題ということですし、今年のソフトバンクの低迷ぶりを見ると、ここらが引き時と思いますので、これは潔い決断です。14年間の長きにわたりホークスを指揮し続け、その間にかつての南海ホークス時代を彷彿とさせるような黄金時代を築いたのは素晴らしいことです。

 王監督は輝かしい現役時代の実績とともに巨人の監督に就任しましたが、5年間で1回しか優勝できず追われるように巨人を出ます。そして1995年福岡の地で再起を図りました。着実に戦力を整え、かつての古巣巨人を上回る強力なチームを作り上げました。一時期の王ホークスはまさにスター選手軍団でした。小久保、松中、城島、井口の打線に、斉藤、和田、新垣、杉内の投手陣は投打ともに全日本クラス。それも全て自前の生え抜き選手で構成されていたところに価値がありました。他球団のスター選手を引き抜いてくるだけの巨人とは全然選手発掘と育成の手腕が違います。もっとも、この多くは優秀なスカウト陣の力であり、王監督の采配は優れた選手の個々の力を信じたオーソドックスな采配でしたから、終盤に選手が疲れてくると失速するという悪弊はありました。

 残念なことに王ホークスの黄金時代は短く、それは主力選手の流出が続いたのと、プレーオフ導入のせいです。なにせオーソドックスな采配ゆえに短期決戦には弱かったのが残念でした。そして、さらに王監督の体調不良も重なり、余計に寂しい終幕を迎えたように感じます。ただ王貞治個人としては、選手としても監督としても一時代を築き、しかもWBCでの第1回優勝監督にまでなったのですから、十分に満足できた野球人生だったのかも知れません。

 これでONともに球界の第一線から退くことになりました。昭和30年代から50年間にわたって日本の野球界を代表し続けた2人のスーパースターが、ともにユニフォームを脱いでしまうことに、ONとともに野球を見てきた僕は何とも言えない寂しさを感じます。そして、ONが支え続けた日本野球は、結局その後継者を見出せないままに人気が凋落し続けています。