幹事クリタのコーカイ日誌2008

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9月15日 ● 伊達はどこまで強くなるのか。

 有明の東レPPOの予選2回戦で、クルム伊達公子がケーシー・デラクアに勝ちました。コアなテニスファンでもデラクアって誰?と思いますが、オーストラリアの23才でただいま売り出し中の伸び盛り。ランキング48位で今年は全豪で4回戦、全仏とウィンブルドンでも3回戦まで勝ち上がっている堂々のツアー選手です。杉山愛よりランキングは下ですが、実力的には遜色ないと言って良いでしょう。

 伊達は予選1回戦でランキング400位台の田中真梨にフルセットの大苦戦をしています。この調子ではとても本戦には上がれないのではないかと危惧していましたが、相手が強くなればなったで、それに合わせて調子を上げていけるところが伊達の凄さ。ファーストセットを落としながら、徐々に相手のペースについていけるようになり、最後は逆転してしまう試合展開は12年前の現役時代と同じです。

 「ライジングサン」と呼ばれた伊達の得意ショットであるライジングショットは、ボクシングで言えばカウンターパンチみたいなもので、相手の球種や癖がわかればわかるほど、どんどんタイミング良く返せるようになります。伊達がスロースターターなのは、どうしても相手の様子をつかむまでに時間がかかるから仕方ないのですが、それにしても若い頃ならともかく、37才になってよく体力がついていくなと感心します。

 さて、いよいよ本戦出場を決める予選3回戦の相手は40位のアレクサンドラ・ウォズニアク。カナダの21才。これまたデラクアと同じレベルの強敵です。世界のトップ50を立て続けに破ることができるようなら、本当に伊達の実力はツアーレベルです。グランドスラムでも2回戦、3回戦まで進出できるわけですから。

 それにしても12年のブランクがある37才が、ここまでできるとは世界中の誰も思わなかったのではないでしょうか。日本だけの驚きから世界レベルの驚きへと進化し、テニスの常識を覆しつつある伊達のパフォーマンスが、今後どういうカタチで世界のテニス界に波紋を巻き起こしていくか楽しみです。