幹事クリタのコーカイ日誌2008

[ 前日翌日最新今月 ]


 
9月13日 ● 東レPPOと伊達公子。

 これまで毎年2月に開催されてきた東レパンパシフィックオープン。日本で開催される女子のトップクラスの国際テニストーナメントですが、今年から9月に変更になりました。全豪オープン直後から全米オープン直後に変わったことで、どれだけ参加選手に変動があるか不安視されましたが、なんとかトップ10選手の半分くらいは参加してくれるようで、ひと安心といったところでしょう。

 この大会の予選にクルム伊達公子が主催者推薦で出場します。伊達は「世界への挑戦はない」と復帰直後から言い続けてきましたが、下部の大会で勝ち続けたことで、こうしてツアーレベルの大会にもチャレンジする気になったのでしょう。この東レPPOと、その後のAIGジャパンオープンの2つのツアー大会の結果次第で、伊達は本格的に世界ツアーに参戦するのかどうかを決めると思います。そういう意味では、伊達の戦いぶりはテニスファンとしては見逃せないものです。

 ただ一般紙がこちらのように「4大会連続優勝なるか?」という安易な見出しをつけると「ちょっと待て」と言いたくなります。伊達が最近続けて優勝してきた大会は、正直言ってかつて世界4位になった伊達が出るような大会ではありません。まだプロになりたてでポイントを稼がなければならない選手たちが必死になって這い上がるための大会です。プロ野球で言えば2軍戦で、決して1軍レベルの試合ではないのです。

 ところが東レPPOは違います。1軍どころかいきなりメジャーリーグ挑戦のようなものです。サッカーで言えばJリーグのサテライトの選手がセリエAやプレミアリーグに挑むみたいなもので、レベルが違いすぎます。だからこそ伊達も本戦出場をかけて予選にチャレンジするわけで、それがいきなり「優勝」だなんて、誰も考えていないでしょう。伊達のいまの力は世界のトップ100にうまくすれば勝てるかどうかという程度。トップ10には手も足も出ないと思います。それに下部大会での優勝とは意味が違うのですから「連続V」だなんて、一般紙の記者のテニス知識の不足にはうんざりしてしまいます。

 ともあれ、伊達には予選を突破して本戦入りを果たしてもらいたいとは思います。もちろん、それはかなり厳しい戦いになることでしょうが、錦織とともに今の日本テニス界でもっとも一般メディアからも注目されている伊達ですから、何とか目立ってテニスにもっと世間の目を向けさせて欲しいと願っています。