幹事クリタのコーカイ日誌2008

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6月28日 ● 伊達公子復帰の理由と今後。

 NHKの『スポーツ大陸』でクルム伊達公子を取り上げていました。約50分のドキュメンタリーを見て思ったのは「結局、伊達はチャレンジするのが好きなんだ」ということ。今回の復帰は要は「やりたかったからやった」だけで、「若手への刺激になれば」とか「テニス界への恩返し」というのは、嘘ではないけれど後付けの理由に過ぎないことがしっかり感じられました。

 夫のミハエル・クルムも伊達に「楽しめるならそれでOK」と言って復帰を後押ししたそうですが、まさにその通りで、その方が聞いている方もすっきりと腑に落ちます。むしろ「若手の刺激」「恩返し」なんて言葉の方が取ってつけたようで納得いきません。まして「同世代の女性たちを励ます」なんてのは、オマケであって、伊達がわざわざ励ますことではなく、みんなそれぞれに人生を楽しめば良いだけのことです。

 まあ伊達としても日本のテニス界に身を置く以上、「やりたいからやる」というだけでは済まなかった事情はわかります。何らかの「意味」をそこに付けないといけないし、それが「ピリッとしない若手選手たちへの刺激」ということなら、WTAのツアーに本格的に参戦しないで、若手と一緒に下位グレードの大会に出る理由付けになります。もちろん、結果としてその言葉通りになっているわけですから文句はありませんが、伊達の「動機」が最初からそこにあったわけではないのは確かでしょう。

 だから伊達はこの先、もっと自分のプレーレベルが上がってきたら、いつまでも「若手の刺激」にとどまっていないような気がします。なにせ「チャレンジ」を楽しんでいるのですから、先日有明で優勝してしまったし、下位の大会でこれ以上勝ってもそれはもうチャレンジにならないからです。

 次に狙うならやはりWTAツアーであり、9月の東レPPOはちょっとレベルが高いので10月のAIGジャパンオープンあたりが手頃ではないでしょうか。場所も得意の有明です。今はまだ「トップツアーへの復帰は考えていない」とテニス雑誌のインタビューでも否定している伊達ですが、自分が思っていた以上に手応えを感じているのなら、もうひとつランクを上げた「チャレンジ」をする可能性は十分あることでしょう。ファンとしてもいつまでも下位ツアーで戦っていないで、どんどん上を狙って貪欲になってくれた方が楽しいですしね。