幹事クリタのコーカイ日誌2008

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6月20日 ● 突っ込み疲れた『ラスト・フレンズ』最終回。

 尻上がりに視聴率を上げてきてキムタクの『CHANGE』を抜いたと話題になっている『ラスト・フレンズ』が最終回を迎えました。以下に書く内容は「ネタバレ」も含んでいますので、もしまだ録画しただけで見ていない方はご注意ください。

 前回錦戸亮の自殺で終わったところから最終回はスタートしました。「本当に死んだのか?」というところはスルーして、さっさと長澤まさみは錦戸の部屋を出ていきます。そりゃまずいでしょ、まず救急車を呼んで、それから警察にも連絡しろよ、一緒に病院に付き添って警察にも事情を話せよ、と思ったのに、フラフラと姿を消す長澤まさみ。あり得ません。錦戸を助ける気はないの?あの状態なら普通まだ生きているでしょ。

 一度シェアハウスを出ていった「おぐりん」。水川あさみとの不倫を解消して夫婦仲良くミラノに転勤、と思いきや、いきなり空港で薔薇の花束を抱えて大声で水川あさみにプロポーズ。君たち、そこは職場でしょ?しかもお客さんの前でしょ?それはマズイよ。上司から厳重注意か、下手すると会社から処分を受けるよ。しかしお咎めナシのまま、すぐに教会で挙式。社内不倫だったのに離婚早々にそんな派手な結婚式すんなって。それで奥さんとの離婚調停はうまくいったのかしらん?

 銚子の岸壁の突端に立ち今にも海に飛び込もうとする長澤まさみ。それを浜から声をかけるオバサン。あの距離でよく一目でわかったなぁ。高校時代から何年も会っていないのに。10代から20代って、女の子は結構変わるぞ。しかも会うなり親切にアパートまで紹介。使っていない部屋って、どう見ても誰か住んでいるかのように家具や生活用品が置いてあってキレイなんですけど。

 浜にテントを張る瑛太と上野樹里。そこはまずいって。満潮になったら海の中だぞ、という突っ込みももちろん無視。いよいよ姉との性的トラウマを語り始める瑛太。ところが全部核心部分を喋っていないのに上野が「言わなくていいから」って止めてしまいます。いや、それを語らないと瑛太の抱えている闇がわからないでしょ。

 そもそも瑛太が姉の伊藤裕子になにかされたのは何才の時かすらわかりません。それが6才なのか12才なのか18才なのかで、全く変わってくるはずなのに。6才なら16才の姉にイタズラされてもよくわからないし、「お医者さんゴッコ」程度で大したことにはならない気がします。18才なら28才のキレイで血の繋がっていない姉と何かあったらむしろ「ラッキー」でしょう。そう考えると瑛太が何らかのトラウマになるのは思春期を迎えた頃の話かなと思いますが、その時にすでに成人している姉が、母の再婚相手に気を使ってストレスを抱えて思春期の弟にイタズラするって、あまりリアリティありません。成人しているんだから、イヤなら一緒に暮らさないで家を出ていけばいいし、弟にイタズラするよりも恋人とストレス発散することでしょう。結局、この話はこれだけで終わってしまい、リアリティがないまま何の解決の糸口も見えずに放置です。納得いきません。

 わざとらしいシーンも多く、長澤まさみがゴハンの匂いをかいで「うっ」って、どんな古典的な妊娠発覚シーンやら。しかもそれで「妊娠5週目」だって。ゴハンの匂いで「うっ」はちょっと早すぎ。妊娠3ヶ月とかならわかるけど、普通妊娠5週目なんて何も気づかないって。

 瑛太と上野樹里がバイクで事故を起こすシーンもわざとらしくて、それまではタンデムして走り出すだけで終わっていたのに、いきなり長々と走るシーンを執拗に描写。しかもスピードメーターが上がっていくカットをインサート。これは事故が起きるぞというお約束。あまつさえ反対方向に走るトラックまで何回も映して、いかにもこれからバイクとトラックがぶつかりますよ、とうるさいくらいに主張します。で、挙げ句に長澤まさみが皿を落として割るこれまた古典的シーンまで挟み込んでの事故。演出が古臭くて涙が出ました。

 それだけ盛り上げておいて、結局2人ともかすり傷(というか、瑛太は傷ひとつない。不死身か?)。上野のかすり傷の場所が左の額って、ヘルメットを被っていてそんなところを切ったりしないでしょ。普通なら肘とか膝とかを擦りむくものだと思うけど、そこじゃ「怪我している」ことを象徴的に表せないから、きっとおでこに絆創膏なんでしょうね。まるでマンガのような記号的表現でした。

 そもそも瑛太も上野もずっとフラフラしているように見えるけど、よく生活できているなぁと思いました。瑛太は右手を大怪我している以上、長期にわたってヘアメイクの本業もバーテンダーの副業もできなかったろうし、上野にいたっては仕事もモトクロスも放り出して何をしているんだって感じ。もっとちゃんと働けよと突っ込んでしまいました。

 で、最後は結局長澤まさみの子どもを瑛太と上野の3人で育てるということで、何となくハッピーエンドで終わりました。これまでの暗く重いドラマのトーンが最後の最後で「ひよった」印象で、急に明るくぬるい展開になってしまって全然面白くありません。それに上野の性同一性障害も瑛太のセックス恐怖症も全く放置したまま。ついでに長澤を苛めていた美容師の先輩のDVについても放置。だったらあんな意味のない設定を作るなよと思いました。

 ところで来週のこの時間に「ラスト・フレンズ特別編」をやるらしいです。どういう内容かわかりませんが、できたら放置したままのいろいろなエピソードや伏線を、ぜひ来週解決してもらいたいものです。なんだかんだ言っても、それぞれのキャラクターが立っていて、それぞれのサイドストーリーでドラマが作れそうなほどしっかり描かれているのですから、特別編も作りやすいことでしょう。仕方ないから来週も見るかなって思っています。