幹事クリタのコーカイ日誌2008

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6月11日 ● 凶悪犯罪者の家族は犯罪者ではない。

 秋葉原の事件に触れてすぐに思ったのは「親や家族はさぞかし大変だろう」ということ。報道で両親と弟がいると知って、その人たちの今後の生活を考えたら暗澹たる気持ちになってしまいました。

 その両親が昨日自宅前で謝罪の会見をしたそうですが、いつものことながら被害者代表みたいな顔をして罪のない家族を追い詰めるマスコミに強い不快感を持ちました。母親は報道陣の前で倒れ込んで起き上がれなかったそうです。これでもし両親が責任を感じて自殺でもしようものなら、またマスコミは「それっ」とばかりに盛り上がるのでしょう。まさに事件という獲物に群がるハイエナかハゲタカのようです。

 これからこの家族は一生重い荷物を背負って生きていくことになります。両親はもう死ぬまで心から笑うこともできないかも知れません。弟はいま何才なのか知りませんが、結婚や就職などで不利益を被むる可能性が極めて高いと思います。罪のない家族に対して重すぎる罰を負わせるのが日本の「ムラ社会」の残滓です。

 もちろん、こうした家族に対する酷い仕打ちが犯罪の抑止力になるという意見もあるでしょう。親兄弟をそんな目に遭わせてはならないと思えば、犯罪を思い止まる人もいるかも知れません。ただそれはある意味「まとも」な犯罪者予備軍であって、正常な判断ができるからこそ親兄弟のことにも思いを馳せられるわけです。今回の容疑者のような常軌を逸した無差別犯罪を行うような人間が、果たしてそこまで思い至るのかどうか、甚だ疑問です。むしろ親兄弟も道連れという意識すら持っているかも知れないのですから。

 それに仮に抑止力になるとしても、やはり容疑者の家族をメディアの前に引っ張り出して叩くような行為は行き過ぎです。人の弱みにつけ込んでやり場のないストレスを発散しているようにしか思えません。こうした興味本位の野次馬的報道から早く日本のメディアが脱却して欲しいものです。