幹事クリタのコーカイ日誌2008

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6月2日 ● お茶のCMソングに布施明。

 キリンビバレッジの「潤る茶」のCMキャラクターに仲間由紀恵が起用されています。『ごくせん』で相変わらずの高視聴率を叩き出しているCM女王だけに、その起用は面白くはないけれど不思議はありません。ただこのCMの音楽が布施明『君は薔薇より美しい』なのにはちょっと驚きました。

 この曲は1979年に大ヒットした布施明の代表曲のひとつですが、ヒットのきっかけはカネボウの春のキャンペーンソングだったからです。当時は資生堂とカネボウが激しいCM合戦を季節ごとに繰り広げていて、そのCMタイアップソングは必ずヒットしたものでした。

 特にこの曲の時のカネボウは力が入っていて、イメージガールに起用したのがハリウッドスターのオリビア・ハッセー。当時は外国人スターがCMに出るだけで今よりはるかにインパクトがあった時代で、しかも彼女は『ロミオとジュリエット』で大ヒットを飛ばした後でまだ勢いのある頃でしたから、当時大学に入ったばかりの僕は「カネボウやるなぁ」と感心したものです。

 あまつさえこのCMタイアップがきっかけで布施明がオリビア・ハッセーと結婚してしまったのですから、日本中がさらにびっくりでした。今で言えば福山雅治がブリトニー・スピアーズと結婚するようなものかな?ちょっと違うかも知れないけど、それくらい衝撃的でした。英語が堪能にも思えなかった布施明はどうやって彼女を口説いたのか不思議でなりませんでした。

 当時のことを今の40代後半以上の人はきっとはっきり覚えているだろうと思います。『君は薔薇より美しい』と言えば布施明、オリビア・ハッセー、カネボウのCMソングという連想ゲームは決して我々世代には難しくありません。

 なのに、そんな曲を敢えてお茶のCMに使うということは、もうみんなそんな連想をしないという判断だということです。と言うか、そんな連想をする世代は「潤る茶」のターゲットではないというマーケティングの結果でしょう。じゃなければ、なんだか化粧品臭いお茶のイメージになってしまいます。僕はお茶好きなんですけど、「潤る茶」は今後選択肢から外そうかなと思ってしまいました。

 ちなみにミニ知識。なぜ「薔薇より美しい」だったかと言うと、この時の資生堂のキャンペーンが映画『ベルサイユのばら』とのタイアップだったからです。こういうライバル意識むき出しの激しい広告合戦は、最近あまり見かけなくてつまらないですね。