幹事クリタのコーカイ日誌2008

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5月29日 ● チューリップから青春が変わった。

 昨夜のNHKの「SONGS」はチューリップでした。財津和夫はよくテレビに出ているのでとりわけ珍しいわけではないのですが、それでもやはりチューリップとしての歌を改めて聴くと、懐かしさにジーンとなってしまいます。

 僕がラジカセを買ってもらったのは中学2年の春で、最初にエアチェックしてカセットテープに録音した曲が「銀の指輪」でした。この頃はチューリップが「心の旅」で大ヒットを飛ばした直後で、出す曲全てが次々とヒットしていた勢いのある時代。「夏色のおもいで」「青春の影」「ぼくがつくった愛のうた〜いとしのEmily〜」「サボテンの花」「風のメロディ」「ブルースカイ」など、メロディアスでポップなチューリップの曲は、それまでの日本にはなかった新鮮さと煌めきがあり、名古屋近郊の田舎町の中学生だった僕は「都会的だなぁ」と感動していました。まさかチューリップが福岡出身だなんて、その時は思いもよりませんでした。

 あの頃、福岡と言えば井上陽水でありかぐや姫であり甲斐バンドであり、何よりそのイメージを決定づけた代表格が海援隊でした。「母に捧げるバラード」の武田鉄矢でした。イモっぽくて暑苦しくて強烈な成り上がり志向を感じるのが福岡のアーティストだったので、チューリップの洗練された印象はおよそ「福岡的」ではなかったのです。

 「フォーク」ではない「ニューミュージック」は荒井由実とチューリップから始まったのではないかと思います。ユーミンは東京のお嬢様で美大出身ですから、正真正銘の洗練された都会派でしたが、チューリップは努力で作った都会派でした。だからこそ、自転車と麻雀と弁当箱が似合う吉田拓郎的な青春から、車とテニスとファーストフードが似合うユーミン的な青春へと移りゆく時代に、その過渡的存在として橋渡し役をなし得たのがチューリップだったのだと思います。