幹事クリタのコーカイ日誌2008

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3月15日 ● 羊のような若者たち。

 週刊朝日の内舘牧子のエッセイ「暖簾にひじ鉄」は、朝青龍問題勃発以降、もっとも週刊朝日で面白い読み物です。なにせ横綱審議委員会の現役の委員であり、朝青龍と尖鋭に対立している内舘が本音で書いているのですから、相撲ファンとしてはこれを読まずして何を読む、というところ。

 その最新号で内舘が朝青龍問題について「熱くなりすぎた」と反省したところ、年代によってそれへの反応が見事に分かれたという話を書いています。老人は「もっとやれ!反省なんかするな」と叱咤激励し、若者は「敵を作るな、おとなしくしていろ」と心配し、中年は「あまり自己主張すると損をするからうまくやれ」と調整を薦めるというのです。

 さもありなん、と思う反面、内舘もこのエッセイの末尾で触れているように、若者が嫌われることや一人になること、敵を作ることを極度に恐れ、そうならないように心を砕いていることに、とても心が痛みます。若者はそんなにも傷つきやすくナイーブで、かつ覇気が持てないのかと。

 僕も今の10代、20代を見ていると、その傾向を顕著に感じます。彼らは優しいと言えば実に優しい世代です。いつも周りを見て気を遣い、人を傷つけないように、また自分も傷つかないように生きようとしています。正面きって対立したり意見を闘わせたりせず、相手の言うことを飲み込み反論しないで何とかうまくやろうとしています。まるで羊の群れのようにすら思えます。

 僕たちにしてみれば、10代、20代というのは、常に世の中や大人や権威に対して反抗的で喧嘩腰。押さえつけてくるものがあれば必ず反発するし、理解のない敵だらけでも自分のやりたいことをする、調整も根回しもしないで正面突破するというのが若者だと考えていました。実際、僕もそういう反抗心、反発心は10代の頃から激しく、学生時代の先輩や先生、会社に入ってからの上司、時には得意先にまで、カッとするといちいち食ってかかっていた記憶があります。まあ得意先と喧嘩した時はさすがにまずかったですけどね。

 そんな具合ですから、好きでもない相手に「嫌われたくない」なんて思ったことは一度たりともありません。むしろ「こっちが嫌いなんだからそっちも嫌ってくれ」と願っていました。そうすればお互いに避けるので無用な衝突はないと思っていたからです。今から思えばバカでした。バカでしたが、それしかできなかったから仕方ありません。

 そういうバカに比べれば、今の若者はみんな賢いのだと思いますが、その反面ストレスも多大に溜め込んでいるようで心配になります。若いうちは少々跳ねっかえりでも生意気でも許されるものです。中年以上はそう思って若者を見ています。だから若者の方であまりセーブせずに、どんどん立ち向かっていけば良いのになぁと思います。まあこちらにしてみれば物分りの良い若者の方がそりゃ相手していて楽で良いんですけどね。でもあまり大人しいと「大丈夫かな」と心配になりますから。むしろ、未だに血気盛んな団塊世代の方が迷惑だったりします。いやはや、本当にいまどきの60歳は元気で困ります。さっさと引退してくれ。←昔からこういう態度だったから上から睨まれるのです。