幹事クリタのコーカイ日誌2008

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3月4日 ● 再開『HUNTER×HUNTER』と最終回『テニスの王子様』。

 少年ジャンプ誌上で連載されている冨樫義博『HUNTER×HUNTER』は、恐らくマンガ史上に残る傑作です。完結する前に断言はできませんが、現時点では冨樫の天才ぶりが遺憾なく発揮されている作品です。ただ問題は冨樫がなかなかマンガを描かないこと。描かないのか描けないのかはわかりませんが、とにかく休載が多くて最近は佳境に入っているにも関わらずちっとも話が進みません。

 昨年秋に約1年半ぶりに連載が再開されましたが、それも10週だけ。もちろん、そのわずか10週の連載は休んでいた時間が長かった分だけ凝縮されていて、実に読み応えがあったのですが、すぐにまた休みに入ってしまったのは残念でした。

 その『HUNTER×HUNTER』がようやく今週号から復活しました。と言っても、どうやらまた今回も10週だけのようですが、復活した今週号では早くも緊迫感がビンビン伝わってきて、ますます面白くなりそうな予感がします。これだけ長い連載になっているにも関わらず、テンションを維持できているのは、ジャンプ伝統の「友情・努力・勝利」のキーワードは守りつつも、キャラクター設定の巧みさ、リズムの良さ、適度なマニアックさ、そして画力に担保されているからで、冨樫作品はやはり他作品を圧しています。

 そして『HUNTER×HUNTER』が華々しく復活している同じ今週号で、許斐剛『テニスの王子様』はひっそりと最終回を迎えていました。9年前から連載を開始したこの作品は、僕のようなテニスファンにとっては当初は噴飯物でした。とにかく大層な名前がついた必殺技は、実はごく普通のショットだったりしたからです。ところがそこに飽きたらず、作者はどんどん現実にはあり得ないような必殺ショットを次々と開発し、すっかり『アストロ球団』以来のジャンプ伝統の荒唐無稽作品へと暴走を始めたのです。テニスファンとしてはもう笑うしかなくなりました。

 ところがこの荒唐無稽な作品が子どもたちには受けたのです。特にアニメ化されてからはテニスブームが巻き起こり、各地のテニススクールにジュニアが溢れるようになりました。いま10代のテニスをする少年少女の層の厚さは、その前の世代とは比べものになりません。彼らの先頭を走っているのが錦織圭です。テニス界にとって実に大きな功績のあった作品でした。ちょっと長く引っ張りすぎたのは、ジャンプ特有の悪癖ではありますが、ここらあたりで幕を引いたのは正解です。マンガファンとしては興味はありませんが、テニスファンとしては一つの時代が終わったような感興がある『テニスの王子様』の最終回でした。