幹事クリタのコーカイ日誌2008

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2月5日 ● 食の安全とコスト。

 名古屋のCBCテレビで『ノブナガ』という深夜番組があります。かつて無名だったペナルティのワッキーが「地名しりとり」というコーナーを長年やっていて人気を博し、今は小泉エリという若い女性マジシャンが「ごはんリレー」をやっていることは以前も取り上げました。昨日食べたものを道行く人に聞いて、それと同じものを同じ場所で食べるというこのコーナーを見ていると、実に人々の食生活が貧しいことに驚きます。

 「昨日食べたものを教えてください」と言われて、頻繁に出てくるのが「ラーメン」。次に「コンビニのおにぎり」とか「マクドナルドのハンバーガー」とか、とにかく多くの人が“安上がりで腹が膨れれば良い”というコンセプトで食事を済ませていることがわかります。お手軽な外食で簡単に低コストで済めばOK。そこには栄養とか安全とかいう意識は明らかに欠けています。

 中国製の冷凍毒餃子事件は原因不明のまま刻々と時が過ぎていきます。このまま真相は藪の中に入ってしまうのではないかという不安も高まってきていて、これでは何を信用して食べて良いのかわかりません。ただ、これだけ騒ぎになる要因として安い冷凍食品の普及という背景があり、それはやはり日本人が全般に食の「低コスト」と「手軽さ」を優先してきた結果です。

 本来安全な食品というのは手間とコストがかかるものです。野菜も肉も魚も穀物も、手間暇かけて作らなければ安全で健康な食材は生まれてこないし、それをまたきちんと調理しなければなりません。当然相応のコストが生じるわけで、あり得ないような安値で提供されている食品の安全性は疑ってかかるしかありません。

 せっかく頑張って有機農法で安全な食材を作っても、市場で「高い」と敬遠されてしまったら、農家は有機農法を断念してしまいます。消費者がきちんと良いものを評価し、少々コストがかかっても仕方ないと納得して良心的な農家を支えていかなければならないのですが、今の消費者は「良いモノを安く」という工業製品的概念に縛られいますから、なかなか高い食材に手を出しません。

 つまらない見栄を張るだけのために、高いブランドの服や時計を買うお金があったら、そのお金を健康的で安全な食事のために使う方がどれだけ有意義でしょう。良い生産者は、良い消費者が育てるものです。