ＣＢＣテレビ制作のローカル番組「ノブナガ」。この番組の人気コーナーに「ごはんリレー」という企画があります。マジシャンの小泉エリが街行く人に声をかけて昨日食べたごはんをひとつ答えてもらい、その答えてくれた料理と同じモノを同じ場所で食べながら名古屋名物５品（味噌カツ、ひつまぶし、手羽先、味噌煮込みうどん、きしめん）のうち３品を食べることができたら終了というルールです。昔はペナルティのワッキーがまだ今ほど売れる前に「地名しりとり」という同種のコーナーで３年１０ヶ月も各地を旅していましたが、今度はさらに難易度の高い企画になっています。

　で、比較的初期に味噌カツは出たのですが、その後はごはんリレーをすること３ヶ月以上たつのに２品目がなかなか出ません。名古屋近辺にいればまだしも、大阪や九州に飛ばされることが多く、とりあえず名古屋に戻ってこなければ無理だろうと思っていたら、先週土曜日の放送で福岡にいながらいきなり「手羽先」が出ました。おおっ、これは奇跡だと思って見ていたら、その手羽先を食べたのが佐賀県。つまり、普通の焼鳥屋の手羽先であって、名古屋名物のあの手羽先ではないのです。

　知らない人にはわからないでしょうが、名古屋名物の手羽先とは「手羽先唐揚げ」のことで、手羽先を唐揚げにしてタレを塗り、塩・胡椒・白ごまなどを振りかけて仕上げた酒の肴です。居酒屋チェーン「風来坊」が発祥で、同じく名古屋の居酒屋チェーン「世界の山ちゃん」がよりスパイシーな手羽先を出したことで、どんどん有名になりました。

　この「ごはんリレー」で言うところの手羽先はあくまでも名古屋名物である手羽先なのですから、素材が一緒でも全然違う料理である焼き鳥屋の手羽先では話になりません。それは名古屋名物を食べたことにならないのですから。視聴者としては全く納得がいかないのに、番組は「この手羽先でもＯＫ」ということにしてしまいました。これはいけません。

　地名しりとりの頃から、この番組の良いところはひたすら過酷にタレントをへこませるようにルールを厳しく定めていたところです。そこを甘くしてしまっては番組としての面白さは半減してしまいます。あの手羽先がＯＫなら、味噌煮込みうどんは八丁味噌じゃない他の味噌で仕立てた味噌味のうどんでもＯＫとしなければなりません。ひつまぶしだって具材が鰻ではなくても、例えば牛肉のひつまぶしでも良しとするのでしょうか？

　ここで僕がつまらない文句を書いているのは、もちろん名古屋人として名古屋名物に誇りを持っているからこそですが、それと同時に面白い人気企画に簡単に終わって欲しくないからということもあります。４年近く続いた「地名しりとり」が終わった時はかなり多くの視聴者がガックリしました。「ごはんリレー」はまだ３ヶ月で（放送は１年ですけど）ほとんど西日本を廻っているだけですから、ぜひ小泉エリにはワッキーのように全国津々浦々を廻ってきていろいろな料理を食べてきて欲しいと願っています。