幹事クリタのコーカイ日誌2008

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2月1日 ● コピーライター書く語りき。

 「宣伝会議」という雑誌に馴染みのある人は、広告業界関係者か、かなりの広告好きだけでしょう。同じ業界関係の雑誌でも「広告批評」はもう少しサブカル寄りですが、「宣伝会議」はもっと業界寄りですから。

 その宣伝会議から「コピーライター、書く語りき」というムックが出ました。宣伝会議2月号の別冊です。サブタイトルが「コピーがひもとく日本の50年 宣伝会議コピーライター養成講座50周年記念号」となっているように、50年の広告コピーを振り返ることで日本の生活者の50年の変遷を映し出すという内容になっています。読み物として、また資料としてもなかなか価値のある本です。

 この本の中に「未来のコピーライターへの手紙」というコーナーがあり、過去にコピーライター養成講座で講師をした有名無名の156人の広告人が手紙を書いています。有名無名で言えば当然無名に属する僕もなぜか原稿を依頼されていて、先日本が手元に届いたのでそれをつらつらと眺めていました。

 もちろん日本を代表するような有名コピーライターたちの含蓄のある「手紙」も面白いのですが、それ以上に僕の興味を惹いたのが一緒に掲載されている顔写真でした。恐らく大半は各人が自分で提供しているのですが、時には文章以上に個性があって主張しているのです。

 めちゃくちゃ頑張ってスタジオでプロのカメラマンに撮影させました、という二枚目の写真を載せている人もあれば、これ用にライティングもお構いナシに適当に会社のデスクでちょちょいと撮影したものもあり、また証明写真か手配写真(?)のような人相の悪い正面向きの目の据わった写真もあれば、敢えて目線を逸らせたナチュラル風味のものあり、妙にカッコをつけた横顔あり、わざと引いて全身でポーズをつけたものもあり、中には自筆似顔イラストもありました。

 こういう本人写真というのは、どうやったところで自意識過剰な感じがして結構気恥ずかしいものです。こんな十把一絡げ(どころか156把一絡げ)の大したものではない写真ですら、これだけ大量の「自意識」が凝縮されて誌面から匂いたってくるのです。まして小説やエッセイの「著者近影」の写真がどれほど気恥ずかしくても(いろいろ恥ずかしい写真を見かけますね)、ある意味仕方ないのかなぁと思わざるを得ません。もしかしたら一番の正解は「写真は載せない」ということかも。そういう人も何人かいて「ああ、これなら恥ずかしくないなぁ」とちょっと感心しました。やっぱりコピーライターは顔を隠してコピーで勝負ですね。