幹事クリタのコーカイ日誌2008

[ 前日翌日最新今月 ]


 
1月23日 ● イチロー・トークスペシャル。

 昨晩のNHK『プロフェッショナル 仕事の流儀』は「イチロー・トークスペシャル」でした。正月のイチロー・スペシャルに続き、さらにイチローに思いっきり話をさせるという企画で、まあとにかくイチローが喋る喋る。マスコミの前では寡黙なイチローというのはどこにいったのかと思うほどに饒舌なイチローがそこにはいました。

もちろん不勉強な記者相手にした時のインタビューと、こうして自分をリスペクトしてのスペシャルインタビューでは対応が違うのはわかります。またシーズン中とオフではリラックスの度合いも違いますから、これくらい喋るのもおかしくはないのですが、それにしてもハイテンションなイチローを見ていると、これは彼の一種のサービス精神なのか、それとも本当は気さくでお喋りな青年なのかわからなくなります。

 まあ彼の人間性がどうであれ、野球選手であるイチローはまずプレーで表現すれば良いと僕は思っていますし、彼自身もそう考えているようですし、実際にイチローはそのプレーで我々を満たしてくれているので現状では文句はありません。「50才で4割打って引退したい」というイチローの言葉はどこまで本気なのかわかりませんが、彼ならやりかねないと思わせるだけの実績とオーラがありますから、当分は彼のプレーを楽しめば良いのだろうと思います。

 ちょっと僕が引っかかったのは、ひとつは「腹が出て野球をやっているなんて耐えられない」発言。思わず落合博満の現役時代を思い浮かべてしまいました。それともうひとつは、高校時代のことを聞かれた時。「地獄だった」とイチローは言いました。愛工大名電時代のイチローはエースで4番でしたが、そんな風には思えなかったし、プロで有名になってからも高校時代のことはあまり辛いとは語っているのを聞いたことがありませんでした。

 特に寮生活での偏食について語った時の発言だったので、そのことだけを指して言っていたのか、それとも高校での野球生活全般を指して言ったのかは定かではありませんが、もし練習や指導をも含めて高校野球全てに不満だらけだったのだとしたら、この発言を聞いた監督・コーチ・先輩たちはさぞかし冷や汗モノだったでしょうね。きっと今まで散々「イチローを高校時代に指導した」ということであちらこちらで吹聴して良い目にあってきたことでしょうから。

 もし今回のインタビューを契機にして、イチローが高校時代のことを批判的に語りだしたら、気まずい立場になる人がたくさんいると思います。スーパースターの発言は本当に影響力が大きいですから。イチローが活躍すればするほど辛いのは土井正三だけではないということです。