幹事クリタのコーカイ日誌2007

[ 前日翌日最新今月 ]


 
11月30日 ● BSマンガ夜話「のだめ」はダメ。

 2年半ぶりに復活した「BSマンガ夜話」。今シリーズの最後が昨夜の『のだめカンタービレ』でした。もちろん2年半前の時点でもすでに大ヒットマンガでしたから、もっと前に取り上げていても良かったと思うのですが、今年のドラマ化の大ヒットを受けての満を持しての登場だけに、「のだめ」ファンでありマンガ夜話ファンでもあるので、大いに期待も膨らみました。

 番組ではいつものように、いしかわじゅんが絵を語り、夏目房乃介の「夏目の目」もあり、激ヤセした岡田斗司夫もそれなりに語ってはいましたが、全体にどうも話が乗らないというか、ひとつの方向にまとまりません。このBSマンガ夜話はいつもそうですが、少女マンガが題材になると途端に切れが悪くなります。「のだめ」は少女マンガとしては間口が広い作品だけにあまり心配はしていなかったのですが、残念ながらその悪弊は残っていた、というよりは、顕著になってしまったかも知れません。

 BSマンガ夜話が少女マンガを苦手としているのは、レギュラー陣がオジサンばかりだからです。司会の大月隆博が一番若くて48才、岡田が49才、いしかわ56才、最年長の夏目は57才です。こんなメンバーで少女マンガを語るのは無理があります。なぜなら少女マンガはストーリーや構成やテーマや絵を論理的に語るものではないからです。少女マンガはキャラクター愛、それに尽きます。ところがオジサンたちはどうしても構造的にマンガを語りたがるから、いつも少女マンガを取り上げると違和感が残るのです。

 昨夜の「のだめ」でも、ひたすら話題になるのは「絵が上手いかどうか」「どう音楽を表現しているか」「セリフやト書きの巧みさ」みたいなことばかり。しかし、視聴者から届くファックスやメールはみんなキャラクターの話題です。黒木くんが良い、真澄ちゃんが好き、大河内くん大好き(マニアックだ)、などと言うメッセージが山のように届いているのに、最後まで出演者の中で「どのキャラクターが好きか」という話題になりませんでした。これは直接的には話を振らない司会の大月が悪いのですが、そういう視点を持てないレギュラー陣全体の問題です。

 夏目が最初から「今日はミルヒーで」と言っていましたが、じゃあミルヒーというキャラクターの面白さを語ったかと言えば、そういう話は全然出ませんでした。ゲストの夢枕獏も菊池くんを少しだけネタにしたけど掘り下げることはなかったし、清水ミチコはそもそもほとんど発言しないし、見ていて本当に消化不良。できたら、20代〜40代の女性陣(オネエキャラでもOK)で、改めて「のだめ」を語り直して欲しいくらいです。

 ちなみに番組では一切「のだめ」ドラマの話が出ませんでした。マンガを語る番組ですが、これだけ幅広い層に「のだめ」が支持されたのはドラマの影響力が大きかったと思います。フジテレビの制作だったから取り上げなかったのかどうかはわかりませんが、それもちょっと不自然な印象でした。