幹事クリタのコーカイ日誌2007

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11月21日 ● ミシュランは和食好き?

 以前から話題になっていたミシュランの東京版が発表されました。それによると、東京の三ツ星レストランは8軒。うちフランス料理3軒、日本料理3軒、寿司2軒。さらに二ツ星はフランス・イタリア・スペイン料理が8軒、寿司3軒、中華1軒、日本料理13軒。ざっと店の名前を見渡しても「日本食偏重」という気がします。

 調査はヨーロッパ人3人と日本人2人の計5名の覆面調査員と、ヨーロッパから駆けつけた訪問調査員10数名によって行われたそうですが、日本人2人の意見がどれくらい尊重されたのかはわかりませんが、基本的にはヨーロッパ人(多分フランス人が大半でしょう)のセンスで選ばれたと考えて良いと思います。

 その場合、果たしてヨーロッパ人にちゃんと日本料理や寿司の味が判別できるのか、ということを疑問に思ってしまいます。例えばパリの有名フランス料理店に日本人が大挙して訪れて格付けをしたら、きっとフランス人は「日本人にフランス料理の真髄がわかるはずがない」と反発することでしょう。それと同じことをフランス人は日本でやって平然と本にして発表し、それをまた日本人が有り難がるというのがこのミシュランの構図です。

 でも、これはどう考えてもおかしいでしょう。そもそもフランス料理店だって、東京にある以上は日本人向けの味に整えているはずで、まして日本料理店や寿司屋がフランス人の味覚に合わせているわけありません。だからフランス人に「うまい」「まずい」言われたところで、「だから?」と言うだけのことです。日本人の参考にはならないのです。

 ミシュランがなぜ東京版を作るかと言えば、本来の目的は東京に観光やビジネスで訪れるフランス人に対してのグルメガイドが必要になったからのはずです。フランス人にとって美味しい東京の和食や寿司をガイドするためなら、ヨーロッパ人が食べて彼らの味覚に合う店を評価するのは当然ですし、チョイスが和食に偏るのも当たり前。フランス人が東京に来た以上まず食べたいのは和食・寿司だからです。そしてそれに飽きたら自国の料理が欲しくなるわけで、だからこそ和食・寿司の店が一番多く選ばれ、次にフランス料理店がチョイスされるわけです。中華が入らないのは、わざわざフランス人が東京まで来て、中華なんか食べたくないからに決まっています。

 そんなフランス人向けグルメガイド本を日本人が有り難がるのは未だに「おフランス」感覚が抜けきっていないからではないでしょうか?日本人の、日本人による、日本人のための権威あるグルメガイドができれば良いんですけどね。当分はミシュランの天下でしょうか?