幹事クリタのコーカイ日誌2007

[ 前日翌日最新今月 ]


 
11月9日 ● カープファンには同情を禁じ得ない。

 広島カープの4番新井がFA宣言をしました。移籍はほぼ確実のようです。先んじてカープではエース黒田がFAでメジャーリーグ行きが濃厚らしいのに、これで投打の柱が同時に抜けるわけです。カープファンはやり切れない思いでいっぱいでしょう。

 そもそも黒田の場合は去年のあの感動の残留劇はなんだったのか、という気がしますが、1年経って翻意したということは、この1年の球団の対応に何らかの問題があったとも考えられます。あれだけの男気を見せた選手があっさり前言を翻すのは本人だって勇気が要ります。批判は覚悟の上、広島に戻ってこられないかも知れないと思い定めての行動ですから。

 新井も長い間「未完の大器」だったのが、ようやく2005年に開花して本塁打王。この2年は100打点をクリアするほど安定感のある打者に成長したところでのFA宣言。懸命に育ててもすぐに選手に逃げられるカープというチームの魅力の無さが哀しいです。

 1980年代までのカープというと、広島に根ざした市民球団として、選手もファンも一体になって「カープ一家」でした。外木場、山本浩、衣笠、三村、池谷、北別府、達川、大野など、まさに映画『仁義なき戦い』の広島の極道イメージでした。

 しかし、バブル期の落合博満の「銭闘」によって選手の年俸が高騰し、球団ごとの「貧富の差」が目立ち始めてから、広島は選手流出が激しくなりました。高給を食む選手を維持できなくなってしまったからです。1990年代に入ると、広島は次々と自前で育てた主力選手が抜けていきました。高橋慶、金石、川口、長富、小早川、江藤、紀藤、金本など、トレードだったりFAだったり、カタチは違えども、ずっと選手流出が止まりません。そのためにかつて「赤ヘル軍団」として球界を席捲した強さは最近とんと見られなくなってしまいました。強い時代のカープの生き残りは前田と緒方くらいでしょうか?

 アマチュア球界で活躍する大卒、社会人のエリート選手ではなく、地元の高校生をイチから厳しい練習で育て上げるカープの選手育成能力の高さは素晴らしいと思いますし、そうやってチーム作りをしていくことも好感が持てます。それは完成された選手を次々と金の力で補強していく巨人の比ではありません。反面、一流に育った選手に十分な報酬を払わずに「金が欲しければよそへ行け」という態度では、いつまでたってもチームは強くなれません。出すべきところでは出さないと、選手だってボランティアで野球をやっているわけではないのですから。

 対して我が中日では岩瀬がまず残留決定のようです。福留はまだ態度を保留していますが、これも中日は精一杯の条件を提示して何とか残留させるとみています。さらに、西武の和田がFAで中日入り濃厚というニュースもあります。もし和田が外野の一角を占めれば、森野はまたポジションを奪われて、李か中村紀と定位置争いをすることになりますが、中日の戦力の底上げは間違いありません。2年連続日本一に向けて「補強」と「育成」のバランスが取れている感じです。カープファンに同情するとともに、ドラファンで良かったと胸をなでおろしています。