幹事クリタのコーカイ日誌2007

[ 前日翌日最新今月 ]


 
11月2日 ● 53年振りの日本一の夜に。

 昨日の午前中、仕事で高木守道さんと会いました。日本プロ野球史上最高の二塁手と言われ、ミスタードラゴンズ、そして元中日監督である守道さんは「今日は勝つよ。日本ハムは打てないから弱いよ」と言い切りました。僕たちスタッフはみな「おおっ、守道さんがそう言うなら勝つんだ」と思いました。なにせ古いドラファンにとっては神様みたいな人の言うことですから。

 試合はもうしびれるような投手戦。ダルビッシュを簡単に打てないとは予想していましたが、山井がまさかのパーフェクトピッチング。守道さんの予言通り、日本ハム打線は確かに全然打てません。これは1−0で最後までいけるかもという展開。それにしても山井のパーフェクトはむしろマズイかも、1本単打でも打たれておいた方が楽になるのになぁと思っていました。

 ところが8回が終わってもまだ山井はパーフェクト続行中。本来なら9回は当然岩瀬へとリレーするところですが、パーフェクトを続けている投手は代えられないだろうと思っていたら、何と落合監督は当然の如く岩瀬投入。驚きました。すごい決断です。もしこれで岩瀬が打たれるようなことがあったら、どれほどの批判を落合は浴びることか。凡人には真似ができません。少しでも迷いがあったら山井続投でしょう。

 岩瀬もまたプレッシャーが尋常ではなかったと思いますが、見事に3人で切って取って監督の信頼に応えました。この時は日本一になったことよりも、むしろ山井、岩瀬、そして落合監督の3人の心情にしびれました。もちろん、僕は山井が1本ヒットを打たれるまでは続投だろうと思いましたし、結果が出た今でも交代については「?」です。日本ハムの下位打線にホームランを打たれる可能性はゼロに近いのですから、山井がヒットや四球でランナーを出してから岩瀬登板でも遅くはありません。できたら53年振りの日本一を決める試合で完全試合というドラマティックな大記録を見たかったと思いますが(まあ継投で完全試合だったんですが)、それでも交代させた落合は、やっぱり「オレ流」なんだなと改めて感じました。

 深夜、名古屋のテレビ各局はドラゴンズ特番。同じ顔触れが順番に各局のインタビューに登場します。同じ話を何回もさせられる落合監督や選手達がちょっと可哀想でした。合同インタビューで同じ映像を流して、早々に解放してあげれば良いのにと思いました。CBCでは高木守道さんがずっと選手たちのインタビューに一緒についていてコメントをしていました。朝9時半から仕事していたのに、きっと深夜までテレビ出演でお疲れだったことでしょう。

 53年振りの日本一ということですが、僕が野球に目覚めたのは1968年、巨人の高田が新人王になり、中日が最下位に沈んだシーズンでした。それ以来40年、一度も実現しなかった中日の日本一を遂に眼前にすることができました。その間には6度も日本シリーズで敗れました。7度目の正直。まさに感無量です。できたら3年前に中日の日本シリーズの試合を見ながら眠るように他界した、大の中日ファンだった父にも見せてやりたかったなぁと、ちょっとしみじみした夜でした。