幹事クリタのコーカイ日誌2007

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10月18日 ● ドラマ版『有閑倶楽部』の限界。

 一条ゆかりのマンガ『有閑倶楽部』は少女マンガの金字塔です。セレブの高校生男女グループが、笑いありアクションありサスペンスありで破天荒に活躍するコメディという設定は、連載開始当時、実に目新しく痛快でした。一条の他の作品のいかにも少女マンガ的なご都合主義も、コメディの体裁をとったことでむしろ笑いへと昇華し、多くのファンを掴みました。

 その初期ファンたちの上限がそろそろ50代になろうというこの時期に、ようやくドラマ化されたのは、もちろん『花より男子』『花ざかりの君たちへ』と立て続けにイケメン少女マンガのドラマ化がヒットしたせいです。この手のマンガの元祖として『有閑倶楽部』に白羽の矢が立つのは当然の成り行きですが、反面長年の連載により幅広い層のファンを持つ作品だけに、どういうテイストでドラマ化されるかは、コアな原作ファンとしても注目でした。ところが主演が赤西仁、しかも役が松竹梅魅録となると、いきなり原作ファンは「うーん」となって引いてしまいます。

 第1回を見る限りでは、原作ファンとジャニーズファンの両方に軸足を置きつつもジャニーズ優遇という演出。赤西以外のキャストはかなり頑張って原作のコスプレに励んでいますし、あり得ないような原作のセレブな世界を再現しようと努力はしています。ただ、やはりそれも限界があって、単なる「おふざけ」レベルにとどまっているのが残念。制作費と制作時間に限りがあるのか、カットによってはほとんどコントに近いレベルでした。

 特にひどいのはやはりジャニーズの3人。清四郎も美童も原作ファンからしたら「あり得ない」ひどさですし、赤西は「全然違う」ものです。せめて髪型くらいちゃんと切って同じにしてこいよ、と言いたくなります。そのあたりからしても、原作ファン<ジャニーズファンという制作側の狙いが透けて見えます。辛うじて剣菱悠理役の美波と黄桜可憐役の鈴木えみが許せるかなというところ。香椎由宇は6人中一番若いにも関わらず、どうしてこんなに老けて見えるのでしょう?女子高校生役が辛すぎます。。

 少女マンガのドラマ化の傑作はフジテレビ制作の『のだめカンタービレ』でしたが、この『有閑倶楽部』はむしろテレビ朝日制作『エースをねらえ!』に近いテイストです。突っ込みどころ満載で、むしろそうやって突っ込んでいないと大人の鑑賞にはとても耐えません。あくまでもジャニーズファン向け、赤西ファン向けのドラマであり、その限界は重々承知しつつも、原作ファンとしてはちゃんとしたキャスト&スタッフで改めて作り直して欲しいなと思ってしまいました。