今クールの月９ドラマ『ファースト・キス』の第１回を見ました。主演が井上真央、伊藤英明というのが弱いかなぁと思いつつ、なんだかんだ言っても月９だしと思って、あまり期待しないで見てみたら、予想以上に面白く拾いモノという印象でした。

　まず良かったのが共演陣。最も出番が多い阿部サダヲ、劇団ひとりを始め、竹中直人、松雪泰子、夏木マリと言ったベテランから、酒井若菜、平岡祐太ら若手まで、それぞれがしっかり個性を出していて印象的でした。特に松雪は良いですね。すっかり大女優として風格が出てきました。

　それから主演２人の掛け合いもテンポが良くて、さすがに井上は若くてもキャリア十分という感じ。これだけの共演陣を揃えての座長はプレッシャーではないかと思うのですが芸達者です。伊藤は『弁護士のくず』の時の武田役を彷彿とさせるボケっぷりで、この路線の役柄はすっかり手の内にしています。

　そして、何と言っても井上由美子の脚本が巧いです。職業ドラマを書かせたら定評のある井上由美子ですから、カメラマンや医者の世界の描き方も説得力があります。このあたりは『山おんな壁おんな』のトンデモデパートぶりとは大違い。早口の掛け合いが多いコメディだけにセリフも切れの良さが要求されますが、ムダなセリフがなく、うまく言葉がまとめられています。

　これからダメ兄が小悪魔妹のために奮闘することになっていくわけでしょうが、縦軸に２人の甘えからの自立、横軸にそれぞれの恋愛が絡んで面白くなりそうです。２回目以降に期待大です。