幹事クリタのコーカイ日誌2007

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7月6日 ● ジョセフ発言をスルーして良いのか?

 米議会が従軍慰安婦問題で不当な対日非難決議案を出そうとしているだけでも腹立たしいのに、今度は「核不拡散問題担当特使」という物々しい肩書きを持つジョセフとかいうネオコンアメリカ人が、久間発言に重ねるかのように原爆投下を正当化する発言をしました。曰く「原爆の使用が終戦をもたらし、連合国側の数十万単位の人命だけでなく、文字通り何百万人もの日本人の命を救ったという点では、ほとんどの歴史家の見解は一致する」。何をこいつは身勝手な屁理屈を言ってるんだ!と久間を除く日本人なら誰でも怒りに震えると思う、のですが、どうやらそんなことは思わない日本人が、他にもいるようです。

 それは久間に代わって新しい防衛相に就任した小池百合子。この目立ちたがりの政界渡り鳥が言うには「ジョセフ氏は前から言っているので目新しさはない。日本の見解とは異なる」だそうです。そうかも知れませんが、今はそんな風にしれっとスルーして良い発言ではないと思うのに、この感性の鈍さは何なんでしょう?よもや自分がどうして突如防衛相に任命されたのか、その原因を忘れてしまったわけでもあるまいに。

 もちろん問題は小池だけではなく、政府首脳も同罪です。安倍首相も塩崎官房長官も参院選しか眼中にないのか、これ以上久間発言を蒸し返すことになるのがイヤなのか、このジョセフ発言を無視して問題化しない方針のようです。さらに言えば、民主党を始めとする野党も、久間のことはあれだけ追い込んだのに、ジョセフは「票にならない」とでも思っているのか、ことさらアメリカに抗議するように政府を追求する姿勢を見せません。驚いたことにマスコミ各社まで醒めた報道をしているだけです。こんな時こそ猛烈に書き立てないで、何のための産経、読売かと思いますが。

 しかし、原爆を落とした当事国が、しかもその国の核不拡散を目指す担当者が、原爆投下を容認するような発言をしていることを、被爆国である日本が怒りとともに断固たる抗議しなければ、一体誰が核廃絶なんてことを世界に訴えることができるのでしょう?日本が国際社会、またアメリカに対してモノを言うための武器は、世界に冠たる経済力よりも、世界で唯一の被爆国であるという「立場」だと思います。なのに、その武器を自ら放棄するような姿勢を取れば、もはやアメリカに対しても国際社会に対しても日本は何も言うことはできなくなってしまいます。

 核の使用を正当化するかどうかというのは、これは主義思想の問題ではなく、むしろ人道的な問題です。特に広島・長崎の原爆投下というのは大量無差別殺人であり戦争犯罪です。ことさらに政治的な判断として論考するような態度は、自らを高みから歴史を断ずるような偉そうな気分になれるかも知れませんが、全く人間を見ていない傲慢な態度です。

 だいたい、アメリカが原爆を落としたのは、もちろん日本人の命を救うためではなく、ソ連に対する戦後処理のためのアピールでしょ?そんなこと、みんなわかっているじゃん。結果から動機を遡って語ってはいけません。


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