幹事クリタのコーカイ日誌2007

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7月5日 ● 既視感たっぷり『牛に願いを』。

 夏ドラマがスタートしています。まずは関西テレビ制作の『牛に願いを Love&Farm』。主演に玉山鉄二、香里奈、相武紗季、小出恵介、戸田恵梨香、中田敦彦。この6人が農業実習のために北海道の牧場にやってきて、ひと夏を過ごすという青春群像ドラマです。脚本は『がんばっていきまっしょい!』の金子ありさ、監督に『がんばっていきまっしょい!』『結婚できない男』『僕の歩く道』の三宅喜重とくれば期待できるというものです。

 第1回は登場人物と背景の紹介で終始しました。最後に牛の出産をみんなで頑張って成功させるというベタなシーンを持ってきて「うーん、まあこんなもんか」という感じで終わったのですが、一応合格点を出しても良い出来ではありました。

 今後に期待をつなげさせた第一の理由は脇を固めるベテラン俳優陣の豪華さにあります。中心となる6人がそこそこ名前は売れているけど、誰も一人で主役を張れるほどの「格」がない分、それをフォローする脇がしっかりしていると安心して見ていられます。中村獅童、中嶋朋子、小日向文世、大杉漣、濱田マリ、相島一之、朝加真由美、市毛良枝と大河ドラマ並みの豪華俳優陣です。

 それから北海道の風景の美しさ。『北の国から』には及ばないものの、『Dr.コトー診療所』や『優しい時間』などに通じるフジテレビ系ドラマ共通の映像美は、特にハイビジョンで見ていると実に気持ちが良いものです。暑い夏に毎週北海道の涼しげな大自然を見せてもらえるのかと思えば、それだけでも見る価値があります。

 気になるのは、あまりにもこのドラマが「いいとこどり」で、どこかで見たような気がする部分が多いこと。まず全体の構成が映画『深呼吸の必要』に似ていること。沖縄のさとうきび畑が北海道の牧場に置き換わったものの、働くことを通じて成長する若者たちの物語という点では全く一緒。香里奈が出ているところも一緒。

 先ほども触れたように風景の見せ方が『北の国から』チックな上に、そこに中島朋子が出てきてしまうと「螢ちゃんだ」と思ってしまいます。「大人になったねぇ」って、いつまでも思われるのも辛いでしょうが、北海道が舞台じゃ仕方ありません。小日向文世&大杉漣の絡みは「僕の生きる道」シリーズみたいですし、市毛良枝が倒れたシーンは「コトー」で朝加真由美が倒れたシーンを思い出させました。中村獅童が独身の獣医役で出ていますが、別れた奥さん役で竹内結子がゲスト出演したら面白いのに。

 今後は主役6人それぞれに毎回スポットが当たって、それぞれが抱える悩みが解消していき、最後は6人の友情を揺るがすような大事件が起きて、そして成長した6人が都会に帰っていくことになるんでしょうが、そのまんまベタな展開だけでは面白くありません。良い意味で視聴者を裏切るようなサプライズを脚本の金子ありさには期待したいと思います。


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