幹事クリタのコーカイ日誌2007

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7月3日 ● 森上亜希子がヴィーナスに惜敗。

 森上亜希子は27才。すっかり女子テニス界では中堅からベテランの年齢ですが、これまでは杉山愛や引退した浅越しのぶの陰に隠れて日本でもあまり目立たない「三女」的選手でした。ランキングも100位以内に入っているとは言え、TOP30に入ってグランドスラムでシードがつくようなこともなく地味な印象。下から中村藍子、そして森田あゆみが押し上げてきていて、ぼんやりしていると目立たないままに世代交代させられてしまいそうな感じでした。

 ところが先月プラハの大会でツアー初優勝を遂げ、絶好調でウィンブルドンに乗り込んでくると、1回戦、2回戦を見事に勝ち抜いて久々の3回戦進出。あのヴィーナス・ウィリアムズと対戦することになりました。ヴィーナスは過去に3度ウィンブルドンを制しているビッグネームです。最近でこそ全盛時の切れはありませんが、それでも未だに女子最速の200km/hのサービスを放つツアー屈指のパワーヒッターであることに変わりはありません。

 第1セットはあっさりヴィーナスが6-2で先取して、これはこのまま一気にいっちゃうかなと思ったら、第2セット森上が好調に4-1とリード。そこで降雨による中断となってしまいました。森上の流れだっただけに、本当ならこのまま押し切っていきたかったのにイヤな感じだと思いました。

 土曜日に中断した試合はミッドサンデーを挟んで月曜日に再開。ところが中一日空いたにも関わらず森上は好調を維持していて、第2セットをそのまま6-3で押し切ってモノにしたのです。ヴィーナスはサービスが不調ですし、ストロークもネットにかけるミスが多く、森上のこの調子なら金星もいけそうな雰囲気で第3セットに突入しました。

 このセットはともにサービスを苦しみながらもキープし続けていましたが、第8ゲームで遂に森上が先にサービスをブレイクし5-3。サービング・フォー・ザ・マッチを迎えます。きちんとサービスをキープすれば森上の勝利というところだったのですが、ここで僅かに森上が勝ちを意識したのか腕が縮んでしまいました。百戦錬磨のヴィーナスはそこを逃さず一気にラブゲームでブレイク。そのまま4ゲームを連取して7-5で第3セットを取ってベスト16入りを決めてしまいました。

 森上にしてみれば実に惜しい敗戦です。サービスは良かったしリターンは特にセカンドサービスを叩き込んでヴィーナスを脅かしていました。ストローク戦では手足の長いヴィーナスの特長を封じ込めるためにボディ狙いで深く打って主導権を握っていましたし、ドロップショットやロブ、ネットプレーなどコートを立体的に使った戦略も効を奏していました。テニスの質では森上が上回っていたのです。あの一瞬の「びびり」がなければとつくづく残念です。

 しかし、それだけ森上が素晴らしいプレイをしても、なおかつヴィーナスの壁を打ち破ることができなかったというところにトッププレーヤーと中堅選手の差があるのだとも思います。ベストパフォーマンスを見せる森上に苦戦しつつも、ヴィーナスは「ここぞ」という時にギアを一段も二段も上げてポイントを奪っていきます。苦しんでいてもまだ底が見えていないのです。

 これは先日シャラポワと対戦して敗れた杉山にも同じことが言えますが、日本人選手がただ走り回って頑張っているだけでは、決め球を持つトップ選手たちにはなかなか勝たせてもらえません。「一生懸命」だけではない「ここぞ」で何か特徴的な武器を身に付けるべきなのでしょう。

 まあそうは言っても、森上がこの敗戦で得たものはきっと大きいと思います。27才とは言え日本人選手はだいたいにおいて遅咲き傾向にありますから、まだまだ森上はここから飛躍することも可能です。ヴィーナス戦で見せたパフォーマンスの高さは杉山を上回っていました。ぜひこの調子でTOP30入りを果たして欲しいものです。


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