大詰めの全仏オープンテニス。女子シングルスではエナンが新鋭イワノビッチをあっさり決勝で撃破して３連覇を達成。ローランギャロスでのエナンは無敵超人です。セリーナ・ウィリアムズに勝った時点で優勝は決まりだろうなぁと思っていましたが、ここまで強いとは。決勝戦もビビリまくりのイワノビッチ相手に、実に「男前」なテニスでガンガン打ちまくっていました。エナンはどんなに重要で緊張して縮こまりそうな時でも、全力でラケットを振り切ることができます。この精神力の強さが何よりの彼女の武器です。

　小柄なエナンより小柄な杉山愛は女子ダブルスで惜しくも準優勝。せっかく準決勝で優勝候補筆頭第１シードのレイモンド＆ストーサー組に逆転勝ちしたのに、大魚を逃してしまいました。決勝戦は大柄な選手に囲まれて杉山ひとりが身体的に不利な状況。それでも機敏に動いて頑張ってはいましたが、この大会通じて不調なサービスが足を引っ張りました。第１セットのセットポイントで杉山はダブルフォルト。さらに第２セットの最終ゲームでも２回もダブルフォルト。それまで懸命に食らいついていただけに、これで優勝を逃したようなものです。

　同じように小柄なエナンと杉山ですが、最後のところでメンタルでの強さの差が出ました。テニスでは、体格的に劣る選手は、そのハンデを埋める武器が必要になります。エナンは小柄でも負けないパワーと、ツアー１の闘争心。杉山には常に走り続けることを厭わない勤勉さと、動きの俊敏さがあります。

　今回準優勝だった杉山とスレボトニクのペアは組んでから４ヶ月ほどと経験が浅く、まだ伸びしろのある状態で、ペアとしては完成されていません。それでもグランドスラムで準優勝なんだから、これからどこまで成長することか。杉山の得意なウィンブルドンでの優勝を期待しています。