幹事クリタのコーカイ日誌2007

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6月7日 ● 「ダメもと」が世の中をダメにする。

 「ダメもと」と言うのは、「ダメでもともと」の略ですから、可能性が極めて低いにも関わらずチャレンジすることです。それだけ聞くと積極的で諦めない姿勢を前向きに評価したくなりますが、「ダメもと」の問題点は「ダメでもともと」なだけに、チャレンジにリスクを伴わないことです。失うものもないし、傷つくこともない、血を流すこともない。そんな気楽なチャレンジは、本当の意味でのチャレンジではありません。安全圏にいてあわよくば、というさもしい根性が透けて見えます。

 昔はこんな自分勝手で都合の良い性根の卑しい態度は恥ずかしいとされていました。例え相手が悪くても淡々と結果を受け止めて自分で何とかするのが「品格」でした。ところが今では「ダメもと」が大流行。例えば給食費を払わない親がいます。彼らは給食費を本来は払わなければならないことを理解しているのですが、「ダメもと」でごねてみたら意外とうまくいってしまったために図に乗っているのです。払わなくてはいけないお金を「ダメもと」で払いたくないと言ってみたら、うまくいってしまったんです。

 産婦人科医が激減しています。お産は決して安全ではなく命を落とすことだってママあるのは昔から誰だって知っています。なのに「ダメもと」で医者に文句を言ったら通ってしまった結果、それじゃあ産婦人科は割に合わないと医者が考えるようになってしまいました。世の中にはびこる「悪い消費者」の大半はこの「ダメもと」で始まったクレーマーだと思います。

 この悪しき「ダメもと」精神を、商行為だけではなく、最近では普通の人間関係にまで持ち込む人々がいます。友人に頼み事をするのに「ダメもと」で言うのは、友情を盾にとった脅しです。そういう人は「ダメもと」で言われた方の気持ちを考えたことがないのでしょうか?友情だけではなく、ボランティアに対しても同じです。僕はテニスサークルの幹事として、メンバーのいろいろなお願い事を聞いては調整しています。その時に「ダメもと」で言われると、かなり腹が立ちます。自分のことばっかり考えているんじゃないよ、と思います。相手の好意に対して「ダメもと」はいけません。「ダメもと」精神は相手のことを尊重しない精神だからです。

 ただ、女性が自分に好意を寄せる男性に「ダメもと」でお願いをするのは似て非なるものです。なぜならこの場合は男の「下心」との戦いですから。女性は自分が本当に好きな男性には「ダメもと」で頼み事をするなんてしません。だって無茶なことを言って嫌われては仕方ありませんからね。

 そう、「ダメもと」の唯一のリスクは、相手との関係を気まずくすることです。そのリスクは世の中を本当にギスギスさせます。「ダメもと」ではなく、きちんと相手のことまで考えて頼み事をするようにしたいものです。


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