幹事クリタのコーカイ日誌2007

[ 前日翌日最新今月 ]


 
6月4日 ● テニス王国の凋落と国際化。

 柔道の本家である日本では、オリンピックなどで日本人が外国人に負けることは許されないという空気があります。大相撲でずっと外国人力士が横綱をつとめていて日本人が勝てない現状に欲求不満が溜まっているのもわかります。しかし、それは柔道や相撲が国際化しているということなのですから、一概に悪いとは言い切れません。

 テニスの本家はイギリスかフランスかは意見が分かれるところかも知れませんが、とにかくテニスは英仏両国で生まれ育ったスポーツです。そしてアメリカで近代スポーツとしてのカタチを整え、一時期はオーストラリアが世界のテニス界をリードしていました。だからテニスの4大大会は、この4ヶ国で行われているわけですし、この4ヶ国がもっとも「本家」に近いと言えます。

 ところがこの本家たちが最近さっぱり冴えません。ウィンブルドンでイギリス人が勝てないと言うのは「ウィンブルドン現象」という名が付けられるくらい有名ですが、全仏でもフランス人は近頃タイトルをずっと取れていません。そして王国を誇ったアメリカとオーストラリアも最近凋落ぶりが激しいのです。

 いまパリで行われている全仏オープンでも、アメリカ人の男子選手がすべて1回戦で負けてしまい話題になりました。女子も含めて上位16強に勝ち残ったのはセリーナ・ウィリアムズただ1人。いくらアメリカの選手が苦手なレッドクレーとは言え、これは前代未聞のひどさです。

 同様に地元フランス勢もことごとく負けてしまい、男子の16強、女子の8強にはひとりも残れませんでした。男子の16強の国別内訳はスペイン4、ロシア3、アルゼンチン3、スイス、イタリア、セルビア、キプロス、スウエーデン、オーストラリア各1です。女子はロシア4、チェコ、セルビアが各2、ベルギー、オーストリア、アメリカ、フランス、イタリア、スペイン、イスラエル、スイスが各1です。32人のうち4大大会開催国の選手は4ヶ国合計でわずかに3人です。そしてまだ全て結果が出ていないとは言え、8強に残るのは恐らくセリーナただ1人でしょう。

 これは本家を自認する国々にとっては由々しき事態です。柔道で金メダルが取れないどころか、メダルにも手が届かない日本のようなものですから。しかし、それを俯瞰する立場から見れば、テニスというスポーツが真にワールドワイドに広がりつつある証拠でもあると考えられます。まだ強国は圧倒的にヨーロッパに偏っているとは言え、南米のアルゼンチンやチリ、そしてアジアでも中国が躍進しつつあります。サッカーのようにテニスもどんどん各大陸に広がり「国際化」を果たしているのです。

 強い選手が登場すれば、その国でテニスの人気が盛り上がります。スターが現れない日本では長らく人気が低迷しているテニスですが、ヨーロッパではテニスの人気ははるかに高く、放映権料も高騰しているそうです。もっとも、この状況は日本のテニスファンにはあまり好ましいことではありません。視聴率が取れないのに放映権料ばかり高くなってしまっては、ますます日本のテレビ局がテニスを放送してくれないからです。

 ハンカチ王子のお陰で早慶戦が異様に注目を集めていますが、テニスの王子様も現れてくれないものでしょうかね。


とりあえず、読むたびに(1日1回)

を押してください。 日記才人という人気ランキングに投票されます。
初めての方は、初回のみ投票者登録画面に飛びます。
結構更新の励みにしていますので、押していってくださると嬉しいです。