幹事クリタのコーカイ日誌2007

[ 前日翌日最新今月 ]


 
5月23日 ● 二世代同視聴ドラマ『プロポーズ大作戦』。

 今クールのドラマで僕が見ているのは結局『プロポーズ大作戦』のみです。主人公の山下智久が幼なじみの長澤まさみと藤木直人が結婚するにいたってようやく「こうなる前に過去に戻ってやり直したい!」と猛烈に後悔をしていたら、教会の妖精を名乗る三上博史が「じゃあ戻してやるよ」と山下を思い出のスライド写真の時にタイムスリップをさせてくれるわけです。ところが、過去に戻って何とかうまくやり直そうとしても、結果に大した変化はなく、毎回結婚式に戻ってきてしまうというファンタジー調SF青春ラブコメ(?)です。

 こう書くといかにもお子様向けの内容なのですが、これがなかなか良くできていて面白くかつ叙情的で切ないんです。高校大学時代というのは本当に誰も彼もおバカで、何にもわかっていないのにわかったような顔をして失敗を繰り返すということを、このドラマを見ているとしみじみと思い出すことができます。

 特に今週月曜日の第6回では、まるで『君の名は』みたいな古典的なすれ違い劇があり、お互いに好きなのにうまくいかない2人の気持ちがよく表現されていました。あまりにも切ない展開にうるっときた向きもあるでしょう。もちろんこれを「ベタ」だとか「古臭い」とか言うのは簡単ですが、制作側はわかっていて敢えてそのベタな恋愛ドラマを作っているわけで、それがベタだけに終わらないようにコメディとファンタジーの衣で新しそうに装っているのです。

 僕は「一番好きな映画は?」と尋ねられたら『バック・トゥ・ザ・フューチャー』シリーズを挙げるような人間なので、このドラマのような青春時代にタイムスリップするコメディというのはストライクゾーンど真ん中なわけですが、逆に言えばBTTFのまがい物にはより見る目が厳しくなってしまいます。

 このドラマはそのあたりのマニア心もくすぐりつつ、でもきちんと真面目に作りこんであって安心して楽しむことができます。それとサザンの主題歌が良いです。桑田の歌声を聞いていると、思わず自分が高校時代に戻ったような錯覚に陥りそうです。

 そう言う点からも、このドラマの裏ターゲットは主ターゲットである高校生大学生の親世代であることは明らかです。ファッションや言葉遣いは変わっても、若者のせつなくてピュアな変わらない部分をうまく掬い取って見せることで、とっくに青春時代が過ぎてしまった親世代にもグッとくるように作ってあります。それをサザンの主題歌に乗せて伝えることで、親と子の二世代が一緒に楽しめる構造になっていて、なかなかうまい手だなぁと思います。そこまで考えが及ぶと、この『プロポーズ大作戦』という懐かしいタイトルも合点がいきます。

 最後はきっとハッピーエンドになるんだと思いますが、ニコニコ笑っているだけのお人好しの良い人役の藤木直人にもきちんと救いを与えてやって欲しいなぁと、それだけが心配です。


とりあえず、読むたびに(1日1回)

を押してください。 日記才人という人気ランキングに投票されます。
初めての方は、初回のみ投票者登録画面に飛びます。
結構更新の励みにしていますので、押していってくださると嬉しいです。