幹事クリタのコーカイ日誌2007

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5月22日 ● フェデラーvsナダル「矛盾」の戦い。

 今の男子テニス界には2人のスーパースターがいます。1人はテニス史上に残るベストプレーヤーと言われ最高の攻撃力を誇るランキング1位ロジャー・フェデラー、もう1人はクレーコートでは誰にも負けない最高の守備力を誇るランキング2位ラファエル・ナダル。まさに最高の「矛」と「盾」の戦いです。フェデラーがいなければナダルはとっくにナンバー1になっていたことでしょうし、ナダルがいなければフェデラーはグランドスラムを達成していました。

 ナダルはクレーコートで2005年から負け知らず。81連勝というとてつもない連勝記録を作っていましたが、フェデラーが全仏オープンの前哨戦にあたる先日のマスターズシリーズ・ハンブルグ大会決勝でついにそのナダルの連勝記録を止めました。フェデラーはこれまでクレーコートではナダルに5戦全敗と全く歯が立たなかったのですが、この1勝が今後の2人の対決模様をまた変えていきそうです。

 ハンブルグでの決勝戦を中継で見ていましたが、フェデラーはナダルへの攻め方をつかんだように感じました。これまでどれだけ打ち合っても、ナダルの足の速さと切り返しの巧みさ、無尽蔵の体力に最後は力尽きて自滅を繰り返していたフェデラーですが、ハンブルグではまるで同郷スイスの天才マルチナ・ヒンギスのような早い展開テニスを仕掛けていました。

 フェデラーはナダルの裏をかき、逆を突き、考える時間を与えず、時にはネットに詰め、時にはドロップショットを駆使して、ナダルを混乱させてミスを引き出していました。全てのショットに意図があり、その優れたタクティクスと、それを可能にするテクニックはまさにフェデラーにしかできないテニス。さしものナダルも最後は手も足も出ない有様で完敗を喫してしまいました。

 恐らくフェデラーはこの勝利で全仏初制覇に確信を抱いたことでしょう。それほど完璧なテニスでしたから。ただ、ナダルとてこのまま終わるかどうかはわかりません。これがバリではなくハンブルグで良かったと考えるナダルは、フェデラーの展開テニスにいかに対応するかをこの1週間の間に模索していることでしょう。ナダルにとって全仏は「本丸」です。ここをやすやすとフェデラーに明け渡すわけにはいきません。

 2人が対決するとすれば、もちろん決勝戦。6月10日のパリ・ローランギャロスの赤土のコートの上で、雌雄を決することになります。ナダルが勝てばボルグ以来の3連覇、フェデラーが勝てばアガシ以来の生涯グランドスラム。そしてフェデラーにはロッド・レーバー以来の年間グランドスラム達成もぐっと近づいてきます。

 芝はもちろんハードコートでもフェデラーの圧倒的な強さは、いささか観戦するファンの興味を削いでしまいます。だから今のテニス界で唯一見ていて面白いのは間違いなくクレーコートの全仏オープンです。史上最高の選手同士が激突する、テニスの歴史に残る決勝戦になることでしょう。それがWOWOWでしか見られない日本のテニス中継環境の貧しさが少々哀しいですが。


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