幹事クリタのコーカイ日誌2007

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5月15日 ● 反戦フォークと国民投票法。

 今やマーケットは団塊の世代をどう取り込むかが大きなテーマです。テレビ各局もやたらと懐かし企画を連発していて、そのひとつが「フォークソング」。毎日のように南こうせつや谷村新司やと、オッサンたちの顔を見ない日はありません、って、もちろん団塊世代でもないのに僕も好きでわざわざチャンネルを合わせて見ているからなんですけどね。

 とは言え、テレビに出てくるのは同じようなメンバーが多い中、先日のテレビ東京「青春フォーク!! 一夜限定ライブ」は、ちょっとメンバーに新味がありました。お決まりというか、今やフォークソング界のみのもんたと化した南こうせつを中心に、ムッシュかまやつや森山良子、杉田二郎あたりは「またか」なんですけど、五つの赤い風船と加川良が出ていたのは「おっ」という感じでした。

 五つの赤い風船と言えば『遠い世界に』ですが、曲はよく知っていますが実際に歌っているところを見たことはありませんでした。彼らは日本のフォークソング黎明期の人たちで、今年で結成40周年。リーダーの西岡たかしも名前は知っていましたが、今回初めて顔を見ました。一緒にお酒を飲みに行ったら酔うほどに小うるさい理屈をこねそうな60代という感じでした。

 もっと新鮮だったのは加川良。ふかわりょうではありません。僕たち世代にしてみれば加川良は遠い伝説の人です。吉田拓郎の『加川良の手紙』という曲でその名が知られているくらいで、代表曲と言われる『教訓I』ですら、あまり聞いたことがありませんでした。しかし、日本のフォークの教祖である岡林信康の正統的後継者は拓郎ではなく加川良だと力説した人もいたくらい、その存在は大きなものでした。

 今回初めて動き歌う加川良を見たのですが、確かに強烈な存在感のある人でした。『教訓I』はいかにも当時の反戦フォークで、国のために命を捨てるな、戦争に行かずに逃げろ、というメッセージソングです。1970年頃の世相を反映していて、当時の若者の気分を彷彿とさせるような歌ですが、40年の日々を越えて妙に加川良の歌に説得力があるのは、現代の政治社会情勢にぴったりとはまるからでしょう。

 「昭和の妖怪」岸信介の孫が首相になって「戦争ができる国」にするために、国民投票法を制定しました。キレイ事をいくら安倍首相が言おうとも、狙いは見え透いています。過去に「小型核だったら持っても良い」とまで言った安倍です。「わたしが自衛隊の総司令官だ」と昂揚して発言する安倍です。戦争をやりたくて仕方ない子どものようです。こんな人間がトップにいるのに、過剰なパワーを持つのは危ういことばかりです。

 僕は憲法を時代に合わせて変えることは反対ではありません。社民党や共産党のようなガチガチの「護憲」は違和感があります。ただもし憲法を改正するなら、安倍が考えている「国家のために国民を縛る」方向ではなく「国民のために国家の横暴を規制する」方向に改正していくべきです。しかし、自民党はあくまで憲法を利用して国家統制を図ろうとしているようにしか思えません。暗澹たる気分になります。

 そして、こんな時だからこそ加川良の反戦フォークソングが心に響きました。会社から解放されて自由になった団塊の世代は、今こそ若かりし頃を思い出して、反戦のために立ち上がってくれないでしょうかね。


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