幹事クリタのコーカイ日誌2007

[ 前日翌日最新今月 ]


 
4月28日 ● 知らなくても困らない?ホントに?

 先日仕事関係の23才の女性と無駄話をしていた時のこと。前々から「あまりモノを知らない子だな」とは思っていたのですが、ゆっくり話してみたら思っていた以上に多方面に無知が展開しているので驚いてしまいました。

 最初は「キャンディーズを知らない」というところから始まりました。もちろん彼女が生まれる前に解散しているのですから知らなくても当然です。で、「女優の田中好子がメンバーだったんだよ」と言ったら、田中好子を知らないと言われてしまったのです。そうか、そんな母親くらいの年齢の女優なんてあまり興味がないかもと思いつつ、松坂慶子は知っているよね?と聞いたら知らないと言われ、じゃあ竹下景子なら知っているでしょ?と聞いたら、それも知らないと言われてしまいました。

 竹下景子は名古屋出身ですから、当地では良くテレビなどに出ていますし知名度はかなり高いはずなのですが、それを知らないということは、単にオバサン女優に興味がないと言うよりも、世の中のこと全般に興味が薄いんじゃないかと感じました。

 案の定、彼女に「○○は知っている?」といろいろ有名人を聞くと、本当に知りません。タレントだけではなくスポーツ選手も小説家も知りません。村上龍も村上春樹も林真理子さえも知らないと言われた時には「うーん」と唸ってしまいました。知っているのは司馬遼太郎だけで、それも名前しか知らないので作品はひとつも出てきません。

 そんな調子ですから、もちろん政治家も全然知りません。小泉は知っていたので「ブッシュって知ってる?」と聞いたら「バカにしないでくださいよ、大統領でしょ」と言うから、「どこの大統領?」と聞いたら「知らない」としれっと言われてしまいました。アメリカ大統領って、そんなに無名なんでしょうか?もちろん人名だけではなく、歴史も地理も漢字も諺も知らないし、九九すら怪しいのですから、「おいおい」という感じだったのですが、本人は「知らなくても大丈夫ですよ」と全く平気な顔をしています。

 怖いのはこの「平気な顔」。本人はそんなこと知らなくても困らない、と言い張っていましたが、本当は困っているはずです。ただ自分が無知故に困っているということにすら気づいていないだけです。トラブルに巻き込まれた原因は「モノを知らない」からだという認識がないのです。「モノを知らない」人は知的好奇心が薄く、あまり考えずに行き当たりバッタリで行動するタイプが多いように思います。全部がそうだとは言いませんよ。あくまでもそういう傾向があるように感じる、ということです。

 そして最近どうもこういう極端に無知であるのに、それを全然恥じない人が増えてきたような気がします。かれこれ10年くらい前に、うちのテニスサークルに名古屋大学を出ていながら「忠臣蔵」を知らないで平気な顔をしていた元銀行マンがいてビックリしましたが、今ではそれくらいのことでは驚かなくなってきました。

 なんだか若い人を見ていると「そんなことは知らなくても良い」という設定レベルがすごく低くなってきている気がします。もちろん僕たちだって上の世代からすれば「モノを知らない連中」だと思われていたことでしょうから、あまり今の若者に対してどうこう言えないですけどね。ただ同じ知らないにしても、もう少し「知らない」ことに対して恥ずかしさは持っていたと思います。それは今よりも世の中全体が「知」について価値を高く設定していたからで、最近は「知」の暴落がものすごく進んでいるように感じます。

 でも、きっと今のハタチそこそこの連中も20年後には同じように「最近の若い奴らはモノを知らない」と嘆いていることでしょう。その時に老人になった僕が「お前たちもじゃ」と一喝してやるのが今から楽しみです。


とりあえず、読むたびに(1日1回)

を押してください。 日記才人という人気ランキングに投票されます。
初めての方は、初回のみ投票者登録画面に飛びます。
結構更新の励みにしていますので、押していってくださると嬉しいです。