幹事クリタのコーカイ日誌2007

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4月20日 ● 広告と企業の不祥事。

 久しぶりに講演会で講師をしました。お題は「元気な名古屋の元気な広告」ということで、経済が活況を呈していて元気と言われる名古屋の広告事情はどうなのか、というようなことを、一般の人(ちょっと平均年齢高め)たちに向けて話をしました。

 まあ講演もこれで何回目かなので、特に緊張もしないのですが、講演後の質問時間に今までなかったほどいろいろな質問をされてしまって驚きました。それも内容はほとんどが「広告は嘘ばかりついていると思うけどどうなのか?」「あの謝罪広告は謝る気があるのか?」「不祥事を起こしている企業が広告してもマイナスではないのか?」というようなことばかりで、昨今の多くの企業の不祥事や虚偽、ごまかし、不正に対する怒りを背景に、広告というよりも企業の社会的責任そのものに多くの人が「どうなの?」と思っていることをひしひしと感じました。

 もちろん世の中にはいろいろな「大人の事情」というものが複雑に絡み合っていることが多く、ひと括りに「不祥事を起こした企業」と言われても、個々に置かれている立場も違えば事情も違います。ですから、そういう新聞の投書欄的なことを質問(というか追求)をされても、単なるコピーライターである僕には答えようがないことも多いのですが、結局そういう場面では「いろいろ問題も多いけれど改善できるように広告業界はクライアントと協力して努力をしている」と優等生的に答えざるを得ません。

 本音を言えば「そりゃ綺麗事ばかりじゃないよ」と言いたくもなりますが、ただこれだけ世の中の人が企業に不信感を持っているというのは、やはり何とかしていかないといけないんじゃないかと思います。昔は、と言ってもどれくらい昔かは難しいのですが、とにかくちょっと前までは「大企業は信頼できる」と世の中の多くの人は考えていたと思います。「広告まで出しているような名前もよく聞く大きな会社だから大丈夫だろう」という判断基準が確かにあったのです。

 ところが今では「大企業は利益追求ばかりで消費者のことなんか考えていない」と思われていることが多いようです。名前の通った大企業の立て続く事故や不祥事が、すっかり消費者離れを進めてしまったのです。「政治家は嘘ばかりつく」というのは日本の「定説」ですが、今では「大企業も嘘ばかりつく」と思われていて、だから「広告も嘘ばかりつく」と思われてしまうのです。

 一度失った信頼を取り戻すのが大変なのは個人も法人も変わりません。この信頼という「見えない損失」をどう補填していくのか、これからの日本企業にとっては大きなテーマになることでしょう。


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