この冬ドラマは『華麗なる一族』『花より男子２』『ハケンの品格』と３本もヒットがありましたが、春からのドラマでは果たしてこのままドラマ復権となるかどうか展望していきたいと思います。

　まず『華麗なる一族』の後番組であるＴＢＳ系日曜夜９時は『冗談じゃない！』。脚本に８０年代に『君の瞳に恋してる』『恋のパラダイス』などフジテレビのトレンディドラマを書きまくった伴一彦、演出に『愛していると言ってくれ』『ビューティフルライフ』『GOOD LUCK!!』とＴＢＳのヒットメーカー土井裕泰を据えてきました。主演はキムタクの次に視聴率を期待できる織田裕二、共演に「のだめ」でブレイクした上野樹里に加え大竹しのぶ、飯島直子と主演級女優を並べました。他に草刈正雄、田中圭、田口浩正ら。

　ビッグネームが揃っているのは良いのですが、設定が織田裕二の新婚の相手が上野で、その母親が大竹。で、織田と大竹は昔の恋人同士だと言うのです。うーん、無理ありすぎではないですか？織田が４０才、上野が２０才、大竹が４５才という設定だそうですが、大竹しのぶはやはり５０才にしか思えません。明石家さんまや野田秀樹と付き合ってきた彼女が、織田裕二相手では釣り合わないですよ。

　それに上野は「のだめ」に続く自由奔放な役柄だそうで、ちょっとそういう安易なキャラ設定もどうかと。まあはまり役だと言えばそれまでですけど、飯島直子にしろ田口浩正にしろ草刈正雄にしろ、いかにもな役柄みたいで、ちょっとその手堅さが「どこかで見たような」感じにならないか心配です。

　『東京タワー』で見事にこけた月９（フジテレビ系月曜夜９時）は『プロポーズ大作戦』。懐かしいバラエティ番組のタイトルをそのまま貰ってきたラブコメです。主演は山下智久＆長澤まさみと、いま考えられるほぼ最強の組み合わせ。時間を巻き戻して好きな幼なじみを奪い取るというタイムスリップものでもあります。

　共演は藤木直人、榮倉奈々、平岡祐太、濱田岳ら。主演の２人に金を使いすぎて他のキャストが弱くなってしまったかも。ただ月９らしい若者向けのラブコメですし、何と言っても主演が数字が取れそうな２人ですから、そこそこ視聴率はいけるんじゃないかと思います。

　日本テレビ系水曜夜１０時『ハケンの品格』の後番組は『バンビ〜ノ！』。同名の料理マンガのドラマ化です。脚本に岡田惠和を起用しキャストも主演に松本潤、共演に香里奈、佐藤隆太、内田有紀、佐々木蔵之介、市村正親、北村一輝とかなり力が入っています。原作もなかなか面白い作品ですし、これだけのスタッフなら期待ができそうですが、心配は原作の九州男児の主人公のイメージが、線の細い都会的な松潤じゃないような気がするところ。その違和感がちょっと心配です。

　マンガ原作、料理ものという意味ではでは日本テレビ系土曜夜９時『喰いタン２』もあります。パート１もそこそこ好評だっただけに、手堅くおさえてきた印象。東山紀之、森田剛、京野ことみ、佐野史郎、伊東四朗、市川実日子、須賀健太らも相変わらず。着実にファンは掴むことでしょうが、それ以上に広がるかどうかがポイントです。

　フジテレビ系火曜夜９時『花嫁とパパ』はＴＢＳ系日曜夜９時枠でやりそうなハートフルコメディ。娘vs父のタイトル通りの捻りのないドラマみたいですから、果たしてこれで面白くなるのかどうか。主演は娘役に石原さとみ、父役に時任三郎。時任が花嫁の父役を演じるような年齢になったことが驚きです。他に田口淳之介、小泉孝太郎、白石美帆、滝沢沙織、忍成修吾、和久井映見と、そこそこの俳優は並べましたが、企画もキャストもインパクト不足な気がします。

　『電車男』の路線を踏襲するオタク系ドラマが２本。火サスをやめて新設された日本テレビ系火曜夜１０時に『セクシーボイスアンドロボ』。七色の声を持つ少女とロボット好きオタク青年が難事件に挑む冒険活劇だとか。主演に松山ケンイチ、共演に大後寿々花、村川絵梨、片桐はいり、岡田義徳、浅岡ルリ子。なかなか癖のあるところがきています。3000体ものロボットフィギュアを集めてロボットオタク部屋を作るとか。ちょっと面白いかも知れません。

　もう１本はＴＢＳ系金曜夜１０時『特急田中３号』。こちらは鉄道オタクが主人公の青春ラブコメ。主役に田中聖、共演に栗山千明、塚本高史、加藤ローサ、秋山竜次、平岩紙、吉行和子ら。こちらはもちろん鉄道オタクグッズが並ぶらしく、どちらのオタク度が高いかも注目です。

　こうして見ると『華麗なる一族』のような重厚な本格派ドラマこそありませんが、軽いコメディ系ドラマが粒揃いで、それはそれなりに楽しめそうです。僕は『冗談じゃない！』『プロポーズ大作戦』『セクシーボイスアンドロボ』あたりは押さえるつもりです。『バンビ〜ノ！』『特急田中３号』も初回くらいは見ようかな。