幹事クリタのコーカイ日誌2007

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2月28日 ● そんなアカデミー賞ならいらない。

 アカデミー賞の発表がありました。日本で期待の菊池凛子の助演女優賞の受賞はありませんでしたが、これは事前の予想通りなので驚きません。ただ作品賞・監督賞はちょっと意外というか、そう来るかぁとは思ってしまいました。

 と言っても、僕の場合どの作品も見ていないので、ちゃんとした批評はもちろんできないのですが、ただ作品賞の『ディパーテッド』は香港映画『インファナル・アフェア』をリメークした作品です。監督のマーティン・スコセッシにどうしてもオスカーを取らせたかったというハリウッドお仲間意識による受賞だとしても、リメーク作品に作品賞というのは、創作表現に関わる者としていかがなものかと思います。会社の同僚のCMプランナーが「そんな程度のアカデミー賞ならオレはいらない(笑)」と言ってましたが、その気持ちはわからないでもありません。

 やはり作品賞なんですから、オリジナリティというものを一番大事にして欲しいですし、リメーク作品が作品賞を獲得してしまったことで、今後ハリウッドのリメークブームはさらに加速しそうな気がします。それがリメークされるヨーロッパや日本、香港などの非ハリウッド映画界にとって良いことなのか悪いことなのかわかりませんが、少なくともハリウッドにとっては「地力」の衰退につながるのではないかと思いますし、オリジナルに対するリスペクトも麻痺していくんじゃないかと心配になります。

 またスコセッシにしてみても、リメーク作品での監督賞というのは少々納得いかないことでしょう。それはあくまでも「雇われ監督」としての職人仕事であって、本来の表現者・クリエーターとしての仕事ではないからです。彼には過去にもっとふさわしい作品があったはずです。

 しかし、嬉しそうに、でもちょっとどこか恥ずかしそうに戸惑いも見せるスコセッシの表情を見ながら、『タクシー・ドライバー』や『レイジング・ブル』『グッドフェローズ』など数々の名作傑作を撮ってきた実績のある彼にしても、やはり「無冠の帝王」で甘んじることは辛かったのかなとも思いました。作品賞はともかく監督賞は貰えて良かったなぁという気分にはなりました。


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