こちらによると、ついに『華麗なる一族』が『花より男子２』に視聴率で抜かれたそうです。しかも『ハケンの品格』もじわじわと追い上げてきていて、このままでは『華麗なる一族』は今クール３位、しかも20％割れの危険性さえ孕んでいます。

　『華麗なる一族』はＴＢＳが威信をかけて制作しているドラマ。キムタク主演、山崎豊子原作というだけで25％はとれるはず。しかも豪華なセットとキャストで30％だって狙えると局は皮算用をしていたことしょう。実際に初回は27.7％と期待通りの数字だったのに、それ以降どんどん視聴率が下がり続けている原因はなんでしょうか？

　まず大きな原因はキムタク人気の翳り。かつての視聴率男も2001年の『ＨＥＲＯ』をピークに数字は落ちる一方でした。特にここ２作の『プライド』『エンジン』はあまり話題にもならなかっただけに、「キムタク神話」も無理して維持しているなとは感じていましたが、この『華麗なる一族』ですっかり化けの皮がはがれた印象です。さすがのキムタクも中年になってきただけに、中年なりの魅力を身に付けないと今のままでは苦しいでしょう。

　そして豪華キャストという割には大根役者が多すぎて、見ていて白けてしまうことも問題です。そもそも主役がワンパターンの演技しかできないのですから、その周りにはもっと芸達者を置いておかないといけないはずなのに、ハセキョーが巧く見えてしまうくらいの山田優の学芸会的演技を筆頭に、どうにもこうにも万俵家の人たちのお芝居はひどすぎます。鈴木京香の迫力の演技に他の俳優陣がついていけていないので、むしろ京香が目立ちすぎて浮いてしまっています。

　さらに演出も力みかえっているだけで全体に硬いし、美術も金のかけているところと、チープなところの差が激しく、妙に安っぽいところが余計に粗が目立ちます。以前にも取り上げた鯉の将軍にキムタクそっくりの肖像画、全然怖くない猪など、突っ込みどころが多すぎてコントみたいです。映画を見る感覚でこのドラマを見るとチープだし、普通のテレビドラマと比べると重たくて毎週続けて見るには体力が必要なので、結局メインターゲットである中高年がついていけなくなっているのではないかと思います。

　まあこうして「突っ込みどころ」を探しながら見ている人間には、それなりに面白いドラマですけど、それで稼げる視聴率などたかが知れていますからね。ドラマ自体はこれからいよいよ鉄平の破滅へ向かって佳境に入るわけですから、あくまでも王道を行って人気を盛り返していただきたいものです、などと心にもないことを言ってみたりして。